【なぜ学校改革を進められたのか(1)】麹町中学校は特別な学校ではない

立命館守山中学校教諭 加藤 智博
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昨年3月まで5年間勤めた東京都千代田区立麹町中学校。この間、6年前に着任した工藤勇一前校長(現横浜創英中学・高等学校校長)の下、さまざまな学校改革が行われ、次第に新聞やテレビなどメディアでも注目されるようになりました。中でも、チーム担任制の導入(固定担任制の廃止)、単元テストの導入(定期テストの廃止)、宿題の廃止などは、注目を集めた改革の代表だと思います。

視察で来校された方には、よく「なぜ、麹町中学校ではこれだけの改革が行えたのですか?」と聞かれました。「教育熱心な保護者や意識の高い生徒が集まる地域の学校だからだろう」「実績ある教員が都内中から集まったのだろう」などという声をよく耳にしますが、それは全くの間違いです。

注目していただく学校になってからは、「麹町中に来たいと思っていました!」と言ってくれる生徒も増えました。でも、そういう生徒は決して多くはありません。私立中学校を受験したけど不合格になり、後ろ向きな気持ちで入学してくる生徒。勉強が苦手で、それが理由で保護者から叱られることが多く、自信を無くしている生徒。小学校の頃、担任の先生と関係がうまくつくれず、大人不信になっている生徒。そういった生徒も数多く入学してくる学校でした。

教員集団については、公立中学校ですので当然、異動による入れ替えがありました。私と共に働いた仲間は麹町中が2~3校目という教員が多く、私自身も麹町中が2校目でした。ほとんどの教員が、経験年数10年にも満たない教員でした。麹町中に赴任する前に、「学校改革」の成功体験があった教員など一人もいません。麹町中はそのような学校です。麹町中が決して「特別な学校ではない」ことが、少しはご理解いただけたのではないでしょうか。

麹町中で、私は赴任2年目に生活指導主任(現・生徒支援主任)となりました。その翌年からは学年主任を兼務しました。学校改革を進めていく上で、ミドルリーダーとして「特別な策」を持ち合わせていたわけではありません。ただ、振り返るといくつかのポイントがあったように思います。

本連載では、それらのポイントをお伝えしていきたいと考えています。そして、麹町中での経験をもとに現任校の立命館守山中学校で行っている実践、さらに私の考える今後の学校教育の在り方についても触れていきたいと思います。

【プロフィール】

加藤智博(かとう・ともひろ)鳥取県鳥取市出身。2020年3月まで勤めた東京都千代田区立麹町中学校で生活指導主任(現・生徒支援主任)と学年主任を兼務。工藤勇一前校長の下で進められた教育改革の現場で中心的役割を担う。20年4月より立命館守山中学校に赴任。中学1年学年主任として生徒の自律を育む教育を継続実践中。


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