【先生ができること(5)】子育てで感じるジェンダーバイアス

弁護士 太田 啓子
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昨年、『これからの男の子たちへ 「男らしさ」から自由になるためのレッスン』(大月書店)という本を書いた背景には、子育てをしながら、子どもが社会から受け取るいろいろなメッセージに、ジェンダーバイアスがかかったものが少なくないと感じたことがあります。

私自身は、息子たちに対して「さすが男の子だね」「男の子なのに恥ずかしいよ」のような言い方をしたことが一度もありません。しかし、親になり実感したのは、つくづく子どもというのは家庭だけで育つものではないということです。保育園や学校の友達や先生、テレビや漫画など、親以外からもいろいろなメッセージを受け取りながら成長するものなのだと実感しました。

親族が、息子をあやすときに「男の子だから泣かないわよね~」と言っているのを聞いてぎょっとしたり、保育園の先生が「さすが女の子たちは小さい子たちのお世話をよくしてくれるようになって」と言うなどしてもやもやしたり、細かいことがいろいろとありました。

親がジェンダーバイアスに基づく言動をしてしまう実例を見聞きすることもあります。保育園の息子のクラスメートのお母さんが、学費の高さを嘆きながら、冗談めいた口調ではありましたが、「娘にまでお金を回しきれない。うちは息子に集中してお金をかける」と話しているのを聞いたときは、身も凍るような思いになりました。

実際、「兄は浪人も許され、東京の私立大学に行かせてもらえたのに、私は女だから地元の国公立大学しか駄目だと親に言われた」などと恨みを込めて語る女性の話は、何度か聞いたことがあります。また、「母は、弟にはそんなに家事を手伝わせないのに、娘である私には口うるさく家事をやらせた」などという話もよく聞きます。そういうことに反発しながら育つ女性もいるでしょうが、「私も親からそうされたから」と内面化してしまう女性もいるのではないでしょうか。また、親から「優遇」された息子はそのことをどう感じるのか、と考えてしまいます。相続案件で、姉妹より自分が優遇されて当然だと感じている男性を見ると、家庭内での特別扱いがそのような意識を醸成してしまうこともあるのではと感じたりします。

そう考えると、子どもの成長に関わる全ての大人が、意識的にジェンダーバイアスを排除することが非常に重要だとつくづく思います。私自身今も、親として悩み、試行錯誤する日々です。


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