【なぜ学校改革を進められたのか(2)】「どうすればできるか」を考える

立命館守山中学校教諭 加藤 智博
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固定担任制の廃止、定期テストの廃止、宿題の廃止…。これ以外にも、麹町中学校ではこれまで学校の教育活動として当たり前のようにあったシステムを次々と廃止し、新しい実践を数多く実施してきました。

改革初期は、工藤勇一前校長から発せられるアイデアに、私たち教職員も驚くばかりでした。私たちには「今ある教育活動をどうやってより良いものにするか」という発想はありましたが、「当たり前にあったものをなくして、新しい仕組みを作ればいい」などと考える習慣は、ほとんどなかったように思います。

例えば、「クラス担任としてどう学級経営の質を高めるか」とか「定期テストの試験問題の質をどう高めるか」という発想はありました。ただ、「固定担任制をなくして学年の教員全員がチームで担任をする」なんて発想は、到底出てきません。工藤前校長ならではのアイデアでした。

ただ、アイデアは工藤前校長のものでも、実際に運用するのは私たち教職員です。仲間同士で毎日、本当にたくさんの話をしました。当然、どの教職員にとっても一つ一つが初めての挑戦でした。正直、不安要素を挙げだすといくらでも出てきました。そんな中で、どうやって一つ一つの改革を前進させることができたのか。その理由の一つは、教職員集団が「『対話』のできる集団に成長できたから」でした。

「対話」の方法を習得したことは本当に大きかったと思います。教員は一人一人、勤務年数や培ってきた経験も違えば、教育観も違います。考えが一致しないこともたくさんありました。

ただ、それは当然のこととまずは受け入れること、そして、常に学校目標である「自律」に立ち返って話を進めることにしました。「どんな取り組みや支援が生徒の自律を育むのか」、反対に「どんな取り組みや指導が生徒の自律を阻害するのか」を常に意識しました。

時には、これまでの成功体験や教師冥利(みょうり)に尽きると感じていた経験が、生徒の自律を阻害していたと気付くこともありました。また、行事や新しい取り組みを行う際は、いろんな考えやアイデアを出しつつも、「最上位目標は何か」「目的は何か」を明確にし、そこに立ち返りながら話を進めました。

この「対話」の手法を学び、実践できるようになったことで、次第に「できない理由」の列挙が減っていきました。どうしたら「最上位目標」に近づけるか、という視点に変わったからです。そして、教職員間の声は、前向きな「どうすればできる?」に自然と変わっていきました。


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