【生きる教育(7)】小5「パートナーシップを学ぼう」

大阪市立生野南小学校主務教諭 小野 太恵子
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高学年では、「人」と「人」との関係性について考えていく。親友、恋人、夫婦、親子など、一対一の特別な関係だからこそ起こる葛藤をテーマとし、異性への関心が高まりだすこの時期に、「恋愛」について学習する。

ワーク中の様子

たくさんのアニメキャラクターの中からパートナーを見つける活動では、恋人と友達の違いを問う。友達や夫婦、親子などと違い、説明しづらいと気付くことがこの授業のスタートである。

本実践では、人権教育としてデートDVを扱うが、児童が恋愛を知らないことを前提に、本校では「おでかけプラン」をグループ学習として設定している。

「おでかけプラン」の意図は、相互尊重と適切な心身の距離を学ぶことにある。男女混合班で、一人一人が手分けをして架空のパートナーの生い立ちや家族、仕事、趣味、年齢などを考え、二人がどのように出会ったのかを話し合う。さらには、名前を付け、似顔絵も描く。次に、どこかへ遊びに行く場合のタイムテーブルを作る。午後9時解散の約束でお互いが楽しいと思える一日を考え、意見が異なる場合は折衷案を話し合う。みんなで協力してストーリーを作ることで二人への愛着が芽生え、幸せを願うようになる。

この後、各班がつくったパートナーたちの数年後を、干渉・依存・束縛を盛り込んだ内容で提示する。少し悲しそうな子供たちは、関係性の悪化を真剣に見つけ、原因を言語化していく。前時に抽出した「好きだからこその特別な言動」と比較したとき、そこに思いやりは消え、「好きに乗じた支配感情」が芽生えていることに気付くようになる。

当然のことだが、友人間でも親子間でも自己決定や自由を阻害してはならず、相手の全てを知る権利はない。ここでは、人間関係に必要な「境界線」が、恋愛感情によって壊れることもあるという側面を学び、努力して解決できない場合は、お別れするという選択肢があることも伝える。

このように、恋愛の危険性に触れた後は、人生の先輩から改めて、人を好きになることの素晴らしさをリアルボイスで聴く機会も設けている。

誰もが抱く淡い恋心が、互いの幸せを願えるものとなるか、支配・依存の関係となるか。その根底にアタッチメントが起因するということのエビデンスは、研究会で各方面から模索中である。心の傷と恋愛の悲しい化学反応が起こる前に、一度立ち止まることができる価値観を学校で教える必要があると感じている。

いつか心から大切と思える人に出会えた時、相手の幸せを願い、相手を幸せにできる力を育んでほしいと願う。


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