【なぜ学校改革を進められたのか(4)】対話が生まれやすい職員室の秘密

立命館守山中学校教諭 加藤 智博
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麹町中学校の職員室は、本当ににぎやかでした。教員同士がいつも会話をしています。よく冗談を言って、場を和ませてくれる教員もいました。もちろん、そういう教員ばかりではありませんが、学校訪問にいらっしゃった方々からは、「なかなかこんな明るくパワーのある教員集団は見たことがない」と言っていただくことが多々ありました。そうした集団になれた理由の一つは、麹町中の職員室の中にあると思っています。教員同士が年齢や経験値に関係なく、安心安全にコミュニケーションを図れる仕掛けがありました。

キーワードは、「休憩スペース」と「ホワイトボード」です。麹町中の職員室には、6人がけのテーブルが一つ置かれた休憩スペースがありました。そのテーブルにはいつもおいしいお菓子が置いてあり、放課後や授業のない時間に、甘いものをつまみに来るような場所になっていました。そして、テーブルの横には模造紙サイズのホワイトボードが2枚ほどありました。

一日を終えて頭や体を休めたいとき、そこに行けばおいしいお菓子があるので、自然と人が集まってきます。そして、自然と雑談が始まります。日によっては、仕事で落ち込んだり腹を立てたりした状態で休憩スペースに来るときもあるのですが、おいしいものを食べているうちに幸福感に近い感情になり、心が満たされていきます。すると、自然と笑顔も増えます。笑顔が多い場には、ポジティブな会話が増えていきます。若手教員からしても、笑顔の先輩教員には話し掛けやすいものです。たわいもない話から、人間関係が深まっていくことも多くありました。

「そういえば、今度の体育祭実行委員会の話だけど」と言って、横にあるホワイトボードを使いながら、仕事の話になることも多くありました。会議ほど堅苦しくはなく、心地よいリラックス感と安心安全が保たれた状態での会話では、ポジティブな意見交換が行われます。そこでアイデアをブラッシュアップしていきました。また、そのアイデアが書かれたホワイトボードをあえて数日間消さないでおくことで、後で他の仲間がそれを見て進捗(しんちょく)状況や方向性を理解していくというようなこともありました。

「麹町中はなぜ学校改革を進められたのか」と聞かれることがよくあります。私は、幾つかある理由の一つとして、いつもこの職員室の仕掛けを紹介しています。


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