【なぜ学校改革を進められたのか(6)】自律を育む生徒支援スキル

立命館守山中学校教諭 加藤 智博
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「自律した子供を育てたい」という思いは、多くの学校、教員、保護者で一致していると思います。ただ、どうすれば子供の自律を育めるのか、どんな手段で子供の自律を育むのかが、悩みどころでもあると思います。そこで、麹町中での実践を中心に一つの方法を紹介したいと思います。

私が生徒支援の際にベースにしている4つの言葉があります。①どうしたの?(現状把握)②どうしたいの?(自分の意思の整理)③自分でできそうなことは何がある?(自分理解)④先生にどんな力を貸してほしい?(他者への協力を決定・選択)――です。

麹町中では、校内研修を通じた学びから、全教員で①②③の3つの言葉をベースに生徒支援をしていました。私自身は、今年度から勤めている新しい学校で、③を加えた4つの言葉をベースに生徒支援をしています。

過去の経験を思い返してみると、良かれと思ってしていた生徒支援が、実は子供の自律を奪っていたと反省することがあります。

例えば、「先生、合唱練習の時に何人かのクラスメートがふざけてばかりで真面目にやってくれません」という相談があったとします。昔の私であれば、「分かった。今すぐ彼らを呼んで叱っておくよ。反省するまで練習に戻さないからね」などと返答をして、言葉通り彼らを叱っていたと思います。生徒の相談にはすぐに対応し、いかに早く問題解決できるかが教員の力量だと思っていたからです。

でも、これでは生徒が「自分で考えて、判断して、決定して、行動する」機会を奪っていることになります。そうではなく、①の質問をした後に、②③④のどれでもいいので使ってみてください。中学生くらいの子供であれば、多くの場合ポカンとします。そんなことを聞かれたことがないからです。「え?先生が解決してくれるんじゃないんですか?」という顔をする子もいます。

今、多くの学校では、教員主導で問題解決が行われている現状があります。もちろん、命・人権に関しては何よりも重要です。大人がすぐにでも手を入れる必要のあることもあります。でも、そうでない場合、大人主導の解決を続けていては、子供の自律を育めるわけがありません。

子供が大人に相談をするというのは、大人のサポートを受けながら、自分の感情や考えを整理することです。そして、この後のことも予測した上で、次の行動を「自ら」決定することであり、これがとても大切だと考えています。


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