【先生ができること(10)】学校現場に期待すること②

弁護士 太田 啓子
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教育現場の「こういうところが変わってほしい」ということの一つに、女性管理職の割合があります。教員というのは比較的ジェンダーギャップが小さい職種だとは思いますが、それでもデータなどを見ると、教頭以上に占める女性の割合は小学校で25.3%、中学校で11.5%、高等学校で10.1%にすぎません(令和2年度文科省「学校基本調査」)。子ども目線で見れば、幼稚園や保育所でお世話になった先生は圧倒的に女性が多いのに、小学校に上がると校長先生や教頭先生は男性ばかりという状況を「当然」「自然」に感じながら成長してしまいかねないわけで、女の子にとっても男の子にとっても、やはり良くないことです。「現状はこうだけど、本来は是正されなくてはいけない」ことなのだと意識的に教えないと、「自然な社会秩序」のように思い込みかねないのが性差別のわなだからです。

拙著『これからの男の子たちへ 「男らしさ」から自由になるためのレッスン』を書く過程で、子どもにジェンダーバイアスを持たせないためにどうすればよいのかを考えたわけですが、大人たちがジェンダーバイアスにとらわれているという事実を自覚し、それを自らアップデートする姿を意識的に見せることが大事ではないかと思いました。いろいろと気にしているつもりの私自身も、やっぱりバイアスにとらわれていると気付くことはあります。そんな発言を息子たちにしてしまったときは、例えば「さっきママはこう言っちゃったけど、こういう理由で良くなかった。ごめんなさい。訂正します。ママもこれから成長します」などと言っています。

性差別構造が強い社会で暮らしている私たちは、誰しもが大なり小なりジェンダーバイアスにとらわれています。そして、「それはちょっと性差別的では」という指摘はかなりこたえるものなので、ついムキになって否定したくなりがちですが、そこをこらえる強さを持つことがとても大事だと思います。自身の無意識のバイアスを客観視し、認めてそれをアップデートさせようとする大人の背中に、子どもが学んでくれることを期待したいところです。

「失言したかも」と何か「ぎくっ」とする機会があったら、ごまかしたくなる気持ちをこらえて、正面から「先生はこういうことを言ってしまったけれど、こういう理由で良くなかった。今後はこうしたい」と、改める姿を子どもに見せる機会をぜひ意識的につくっていただきたいと思います。

(おわり)


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