【なぜ学校改革を進められたのか(7)】保護者の心を動かす教育ビジョンの伝え方

立命館守山中学校教諭 加藤 智博
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学校改革を進めていくには、保護者の協力が不可欠です。保護者の心を動かす教育ビジョンの伝え方は、工藤勇一前麹町中校長から学んだことの一つです。

入学説明会など保護者が一堂に会する場面で、工藤前校長は念入りに作られたスライドを使いながら、時間をかけて徹底的に自分の教育ビジョンを伝えます。そこでは、これからどんな未来が待っているか、これからの未来を生きる子供たちにどんな力が必要なのか、その力を育むためにどんな手段を使うのかなど、とにかく具体的に伝えます。

また、一見マイナスに聞こえる話も隠さず伝えます。学校が失敗から学ぶ場でもある以上、子供同士のトラブルが当然起こることも話し、その際はどのような手段で支援を行うかもセットで伝えます。

そうすることで、保護者が麹町中の3年間の教育を理解してくださいます。そのため、教員と保護者が素早く手を組めるようになります。新しい取り組みを取り入れる際も、保護者の理解を得られるまでの時間が早く、保護者の中には強力な応援団になってくださり、さまざまな場面で協力をしてくださる方もいらっしゃいます。

何か子供同士でトラブルが起きたときも、ビジョンと手段の共有ができているので、学校と保護者が手を組んで対応できます。事が起きてから学校の理念や方針を伝えては、保護者は不安に感じたり感情的になったりしているのでなかなか伝わりづらいものです。

どの学校でも、学年懇談会などが定期的に行われていると思います。そうした場で、普段伝えられていない生徒たちの姿や表情をスライドショーや動画で見ていただくことも大切だと思います。ただ、それがメインでは、もったいないものがあります。学年の教育ビジョンを具体的にしっかりと伝えることで保護者の理解が得られ、手を組める絶好の機会となります。

私は現在、勤務する立命館守山中学校で、1年生の学年主任を務めています。コロナ禍の影響で保護者の方に集まっていただける機会はつくれませんが、オンラインで二度、話をさせていただきました。

二度とも私の割り当ては30分と限られた時間でしたが、麹町中時代と同じようにお伝えしたことで、この1年間、保護者の方のご理解とご協力を得ながら生徒の成長支援ができています。時には保護者の方と認識に違いが生じる場合もありますが、先にビジョンを伝えている分、合意形成までの時間は格段に早く、多くの協力も得られているというのが実感です。


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