【PBL授業実践ガイド―理論編(1)】Projectとは何か

プロジェクトエディター 前田考歩
この連載の一覧

PBL(Project Based Learning)に取り組む教師の皆さんにとって、プロジェクトとはどのようなものを指すでしょうか。

筆者は20年近く企業のプロジェクトマネジメントに携わっており、近年はプロジェクトを進めるための人材育成施策として、企業内でPBLに取り組む支援コンサルテーションも行っています。これまで新製品の開発、人事制度の改革、非対面での営業体制の構築など、ベンチャー・中小から大企業まで、業界も目的も、かけるお金や時間も、関わる人のリテラシーや能力、人や部署の数も異なるプロジェクトに携わってきました。

Projectは未知をはらむ

テーマもサイズも異なるプロジェクトに唯一共通するのは、当人や会社にとって「未知」なものがあるということです。「未知」とは経験や知識・情報がないということ、「これをやれば必ずこういう結果になる」という因果関係が明らかではないものを指します。小学校から大学までの教育機関でPBLに関わるようになってから、「企業とコラボしていないと」あるいは「1年間通して取り組んでいないと」プロジェクトとは言わない、というような風潮・雰囲気を感じます。

しかし、かける時間の多寡や誰がやるかではなく、当人にとって少しでも未知の要素があれば、それはプロジェクトになります。例えば、学校現場であればどの教科の学びも児童生徒にとって未知なものですが、教師にとっては既知のものです。既に明らかになっている定理やノウハウがあり、教科書というマニュアルが存在します。それはプロジェクトではなくルーティンワークのようなものです。学校で取り組むプロジェクトは、教師にとっても未知の要素をはらむものであると筆者は考えます。

プロジェクトの語源は「Pro(前へ、前に)」+「ject(投げる)」で、そこから転じて「目標に向かって進む」という意味合いを持つ言葉になりました。この言葉は学校にもなじみのあるProgramと対比すると、その未知性が際立ちます。「Pro(前もって)」+「gram(書く)」には、事前に決めた通りに進行する静的・固定的なイメージがあります。一方のProjectは、目標に向かって、どのルートを、どのくらいのスピードで、どう進めばよいかが明らかではありません。現在とありたい未来の間には未知が横たわっています。

この未知に、限られた資源で、他者と協働して取り組もうとすることで、ほとんどのプロジェクトは失敗していくのです。

「今回の解説動画」はこちら
【プロフィール】

前田考歩(まえだ・たかほ)1978年三重県生まれ。自動車、映画、地域活性、防災、育児、離乳食、動画、IoTカメラ、デジタルトランスフォーメーション、SDGs、ダイバーシティなどさまざまなテーマのプロジェクトマネジメントに携わる。企業向けのプロジェクト型人材の育成・研修にPBLの手法を活用。小学校から大学までPBLの授業支援も行う。共著に『予定通り進まないプロジェクトの進め方』『見通し不安なプロジェクトの切り拓き方』(ともに宣伝会議)、『紙1枚に書くだけでうまくいく プロジェクト進行の技術が身につく本』(翔泳社)がある。自身のブログでプロジェクトに取り組む子供の様子を発信している。

 


この連載の一覧