【なぜ学校改革を進められたのか(8)】生徒と保護者と一緒につくる学校

立命館守山中学校教諭 加藤 智博
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麹町中学校は、生徒と保護者と教員が、一緒に学校づくりを進めていこうとする学校でした。事例を一つご紹介します。生徒と保護者と一緒に新しい標準服をつくったのです(詳しい経緯もお伝えしたいところですが、紙幅の都合上割愛します)。

新標準服をつくるにあたって、「標準服検討委員会」を発足させました。メンバーは、有志で集まった生徒、PTA役員を中心とした保護者、そして私を含む生徒指導担当の教員です。

新標準服をつくることについて、生徒や保護者全体にアナウンスをした当初は、本当にいろいろな声が上がりました。具体的に、生徒からは「かわいいデザインがいい!スカートはチェック柄で…」、保護者からは「伝統の詰襟の学ランは残してほしい」「動きやすさも含めて着心地の良いものがいい」などです。

立場や好みの違いもさまざまで、本当にたくさんの意見がありました。ただ、新標準服をつくる上で、生徒・保護者・教員で一致させていた最上位目標がありました。それは「機能性と経済性を優先させた上で、誰一人取り残さない新標準服づくり」です。

委員会のメンバーで、全校生徒や保護者の意見を聞きました。製造業者の方にも何度か来校いただき、デザインや生地、その他たくさんの情報を教えていただきました。冬休みには実際に業者を訪ねて、たくさんのサンプルを見たり試着させていただいたりもしました。その過程で、生徒、保護者にいろいろな変化がありました。

委員会の生徒からは、「最初、私もかわいくて明るい色のデザインがいいと思っていた。でも、明るい色よりも落ち着いた色の方が、授業に集中しやすいことが分かった」「かわいいデザインだと、どうしても割高になることを知った」などの声が上がりました。保護者からも「いろいろと学ぶことが多かった。うちの子は平気だから気付かなかったが、感覚過敏のあるお子さんには、詰襟や肌に合わない繊維のせいで、かゆみや発疹が出てしまうことがあるのを知った。知らず知らずのうちに、特定のお子さんに我慢を強いていたのかもしれない」などの声が上がりました。

その後、ここには紹介しきれないほど多くのプロセスを経て、最終的に新標準服が決定しました。「これまでは自分の立場で意見を言い、時には批判もしていた。ただ、検討委員会のメンバーとして『当事者』に変わったことで、何かを『決める』ことの難しさを感じた」

ある保護者が語ったこの言葉が、全てを物語っているように思います。


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