【PBL授業実践ガイド―理論編(2)】 Projectの性質、失敗の構造

プロジェクトエディター 前田考歩
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プロジェクトが失敗する主な要因は、「未知であること」「限られた時間や資源であること」「他者と協働すること」にあります。

未知とは大変厄介なものです。やったことがないというのは、まだ始まっておらず(未然)、姿や形がない(未形)ということでもあります。五感のリアリティーがなく、頭の中で考えるしかありません。最初に計画を立てても、プロジェクトが動き出すと作業の抜け漏れに気付いたり、新型コロナウイルスのような想定外の事象や環境の変化に遭遇したりすることもあります。因果が明らかでないということは、自分の打った手が想定外の結果を引き起こすこともあるということです。

有限有期であることは、教師にとっては日常茶飯事でしょう。仕事をしているとPDCAを回して改善を求められますが、何度もPDCAを行うことが許されるのは、この先も同じことをするルーティンワークだけです。そもそも何度もPDCAをして死なないのはコンピューターだけで、プロジェクトでそれをやっていてはゲームオーバーになります。

同じ目標に向かって、メンバー同士が共に進むということも容易ではありません。例えば、あるテーマについて探究するというプロジェクトがあったとして、探究してみたものの、「自分たちがどうありたいか」というイメージがメンバー間でズレていることがあります。そして、このズレを明らかにせず、合意形成を経ずにプロジェクトを進めると、思っていたこと、やりたいことが違い、衝突・紛糾・モチベーションの低下・全体の目標に寄与しない行動といった問題が起きます。

また、効率的にプロジェクトを進めるための「分業」が、プロジェクトを難しくします。Aさんに任された仕事の善しあしや終了するタイミングが、Bさんの仕事に影響を与え、それがCさん、Dさんへと連鎖していきます。量と質の向上のための分業が、コミュニケーション・情報・イメージの共有不足によって成果物の質が落ち、それまでの時間、思考、作業、材料が無駄になるという問題が起きます。

限られた資源・スケジュールで、未知・未然・未形のものに、他者と分業・合意して取り組むという難しさがプロジェクトにはあります。言うなれば、プロジェクトは成功することの方がまれなのです。

学校では児童生徒が個々に取り組むプロジェクトだけでなく、クラスや学校全体で取り組むPBLというケースも珍しくなく、プロジェクトそのものを進める難しさがあります。

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