【PBL授業実践ガイド―理論編(3)】Projectのライフサイクル

プロジェクトエディター 前田考歩
この連載の一覧

PBLでは、学ぶべき事柄を先に示すことはありません。先に学んでからそれが身に付いているかを測るテストを行うのが従来の教科学習だとするならば、PBLは先にプロジェクトがあり、その目標を実現するために学ぶべき事柄、起こすべき行動を決めていきます。あるいは、プロジェクトを進めながら必要な知識や技能を習得していかざるを得ません。企業のプロジェクトであれば、マネージャーや管理職が教師に該当するのですが、これまで企業が持っていた既存の知識やルール、縦割り部署、固定化された役割の下では、実現できないのがプロジェクトです。

PBLのライフサイクル

では、PBLで教師に求められる役割は何でしょうか?

プロジェクトでは「こうしたらこうなる」といった細かな「正しい」指導はできませんが、プロジェクトのライフサイクルを理解して、児童生徒がプロジェクトに取り組むための物心両面の支援を行うことはできます。具体的には「プロジェクトが立ち上がるとき」「プロジェクトが進みだしたとき」「終了に向かうとき」など、それぞれのフェーズで「どのような問題が起きやすいのか」「そうした問題を起こさないようにするため、どんな計画やチームづくりをすればいいのか」「問題が起きたときにどう対応すればよいか」といったことが分かるようになります。それをまとめたのがプロジェクトのライフサイクル図です。

プロジェクトは開始から終了まで、何もしなくても世界は動いていて、手持ちの時間は少なくなっていきます。時間があるうちは、「あんなことをやろう!」という野心のサイズが大きく、取れる選択肢の数も多いですが、時間の経過とともに野心のサイズは小さくなり、打てる手の数、試行錯誤の数も減っていきます。

一方で、未知の要素や不確実性は少なくなっていきます。残り時間が少ないのに、まだあれこれ試行錯誤しているという状況は、プロジェクトが収束に向かっていないということです。また、いろいろやっているのにまだ未知が多いというのはプランが間違っているということでもあります。プロジェクトでは、大きな流れの上で児童生徒の行動・知識・意識・態度・能力が変化していき、チームの状態や教師の関わり方が影響を受けます。

プロジェクトは未知の要素をはらみ、また児童生徒の主体性に委ねるが故に、管理することが難しいという性質があります。しかし、チームやクラス、学年のプロジェクトが、「今どの段階にあるのか」を把握しておくことで、ある程度予見し得ることに備えられるようになります。

「今回の解説動画」はこちら

この連載の一覧