【PBL授業実践ガイド―理論編(4)】誕生期にやることとよく起こる問題①

プロジェクトエディター 前田考歩
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プロジェクトのライフサイクルは、大きく三つの段階に分かれます。最初が誕生期、次が成長期、最後が円熟期です。

誕生期のサイクル

誕生期はプロジェクトを進めるための仮説を立てる時期です。プロジェクトは目標に至るまでのプロセスに多くの未知をはらむため、筆者はここでは計画ではなく仮説という言葉を使います。

誕生期に仮説を立てる際にも段階があります。まず、未来のありたい姿を想像し、プロジェクトの目標を具体的に設定することから始めます。次に「自分たちが何を持ち、持たないのか」「何を知り、知らないのか」「何を学び、習得し、調達しなければならないのか」を把握します。未来の目標と現在の自分を設定したら、その間のプロセスをつなぐ仮説を立てます。

具体的にはプロジェクトに関わる要素の「あるべき状態」(プロジェクトマネジメントの言葉では主要成功要因と呼びます)を設定します。最後の段階で、状態を実現するために存在する数多くの選択肢の中から、自分たちのプロジェクトに最適かつ所与の条件で選択可能な手段を選びます。ここまでが、誕生期に行う仮説立案の流れです。

この誕生期で注意すべきポイントを、今回は仮説立案をテーマに、次回は児童生徒およびチームのあるべき姿をテーマに紹介します。

仮説立案の際のポイントは、できるだけ豊かな選択肢を持っておくことです。豊かな選択肢とは、プロジェクトの目標を実現するための「あるべき状態」と、その状態を実現するための手段を多様に持っておくということです。まだ多くの時間が残っている段階でさまざまな可能性を探っておかないと、当初の仮説通りにプロジェクトが進まなかったとき、すぐに行き詰ってしまいます。

一方、豊かな選択肢を持つとどれからやっていいか分からず、かえって動けなくなってプロジェクトが進まないという問題が起きることもあります。しかし、持っている選択肢の全てを実行する必要はありません。そもそも全てを実行しようとすると、時間と人手が足りなくなってしまいます。そこで、最も目標の実現に寄与しそうな状態を、最も少ない労力で早く始められる選択肢から優先順位を付けて実行していきます。筆者は、これを「小さく始めてさっさと成功する」と呼んでいます。このようなパターンで目標が実現されれば、他の状態や手段は実行しなくて済みます。

つまり、打ち手の数が少ない方が、結果的に筋の良かった仮説ということになるのです。

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