【小学生からの「主権者教育」(3)】学習指導要領との関係性

弘前大学教育学部専任講師 蒔田純
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「18歳選挙権」を受け、2017年告示の新たな学習指導要領は、全体として主権者教育をより促進するものとなっています。最も分かりやすいのは順番です。従来、小学校社会科第6学年の指導内容は、歴史→政治→国際の順で記述されていましたが、新たな学習指導要領では、政治→歴史→国際の順になり、各教科書もそれに倣って同様の順番となりました。

筆者の出前授業が該当すると考え得る学習指導要領(平成29年告示)の記述

これまで、政治分野は受験科目としての比重の違いからなのか、地理・歴史と比べてややもすると軽視されがちな感があり、授業時間が切迫した3学期に駆け足で扱うといったケースが間々見られました。今回からこれが6年生の冒頭で扱われることになり、時間的余裕を持ってじっくりと授業することが期待されます。

また、内容面でも「市区町村による公共施設の整備や租税の役割の理解(第3学年)」「国民としての政治への関わり方について自分の考えをまとめる(第6学年)」といった記述が盛り込まれるなど、充実が図られています。国としても小学生からの主権者教育の意義を理解し、学習指導要領を通してそれを具体的に推進しようとしていることが分かります。

こうした流れを踏まえ、筆者が行っているアニメ動画を用いた出前授業の学習指導要領上の位置付けについて説明しておきます。学習指導要領上、政治の仕組みは第6学年の社会科で学ぶ内容ですが、この出前授業は必ずしも6年生だけでなく、表のような多様な指導要領上の記述に該当するものとして実施可能です。

例えば、上で例として挙げた通り、社会科第3学年では「公共施設の整備」について扱い、その中では「租税の役割」に触れることが求められています。次回紹介しますが、アニメ動画の内容は「村の予算が限られている中で、その使い道(橋か、お祭りか)について選挙で決定する」というものであり、学習指導要領上の記述に当てはまると言えます。また、そこに「選挙による意思決定をする」という要素を加えることで、民主主義下における予算の決定プロセスをより深く学ぶことにつながり、橋やお祭りといった身近なものと選挙・政治という高次の要素を、幼い段階から関連付けて捉えることが可能になると考えられます。

「政治」と聞くと、どうしても小学校では6年生と考えがちですが、子供たちに身近な社会の仕組みは、3年生以降のどの学年でも教えられています。そこに選挙という要素を組み込むことで、民主的な政治過程全体を実践的に学ぶという、より発展的な学習が期待できるのです。


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