【PBL授業実践ガイド―理論編(5)】誕生期にやることとよく起こる問題②

プロジェクトエディター 前田考歩
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誕生期は野心のサイズが大きく、野心的な児童生徒が最もワクワクする時期です。自分のやりたいこと、アイデアを実現できるかもしれないという期待は、主体的な思考・行動につながっていきます。

PBLにマニュアルは存在しない

その一方で、取り組むプロジェクトに対して興味関心が薄かったり、意義を見いだせなかったりすると、主体的に関わることができなくなります。

また、いくら検索をしても答えが見つからないのがプロジェクトです。プロジェクトにマニュアルが存在しない以上、「自ら目標実現のために何をしなければいけないか」を考え、情報を収集し、行動することはPBLにとって必要不可欠です。

このような児童生徒がいる場合は、まず「自分が何に関心を持っているのか」「自分が好きなことは何か」「自分には何ができるか」ということを考えさせる体験を挟むとよいでしょう。そこからプロジェクトのテーマと自分の間に橋を架けたり、全体の仮説の中で自分がどこに位置付けられ、自分の役割が誰に影響を与えるのかを考えたりするワークも効果的です。

中にはどうにも自分がやりたいと思えるプロジェクトが出てこない児童生徒もいます。そんなときは、自分のやりたいことではなく、共感する他者のプロジェクトに参加するという手もあります。

プロジェクトにはリーダー役がいて、多くの場合、そのプロジェクトを最も実現させたい人物が務めます。しかし、誰もやったことがない未知のプロジェクトを他者と協働して進める上で、リーダー一人が率先垂範し、メンバーに指示を与えるというやり方では行き詰ってしまいます。特に思い入れが強いばかりに視野が狭くなりがちなリーダーであれば、一歩引いて客観的に、異なる視点からプロジェクトを見つめる存在も必要です。このことは、教師が児童生徒に理解させておくべきです。

誕生期はチームをつくる時期でもあります。プロジェクトに参加する動機や思惑は人それぞれで、進め方のイメージや好みも異なります。このズレはプロジェクトの仮説を立てる段階では有利に働きますが、ズレを明らかにせずに進めると、紛糾や停滞の火種になります。それを防ぐには、プロジェクトの目標が実現されたとき、「自分や関わる人がどのようになっていたら成功か」という定義と、そうなるための進め方を一人一人が考え、全員で共有し、合意形成しながら仮説を立てることが必要です。

この方法は「my project」「your project」「our project」というワークで行うのですが、詳しくは本連載の終盤で解説します。

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