【小学生からの「主権者教育」(4)】アニメ動画という教材について

弘前大学教育学部専任講師 蒔田純
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筆者が行う主権者教育の出前授業では、アニメ動画を教材として使用します。タイトルは「ポリポリ村のみんしゅしゅぎ」で、3部(A、B、C)に分かれています。子供たちがAを見た後に投票し、その結果によってその後のストーリーがB、Cのどちらかに決まるといった具合に、模擬投票によって物語が分岐する仕掛けになっています。ストーリーの概要は、以下の通りです。

「ポリポリ村のみんしゅしゅぎ」の場面(左上:タイトル、右上:村の会議、左下:完成した橋、右下:お祭り)

A前半:ポリポリ村では、村のお金の使い方(橋を造るか、お祭りを行うか。橋を造れば、お祭りが5年間行えなくなる)について意見が割れ、村長選挙で決めることに。橋建設派のキャンディさんとお祭り実施派のデイトさんが立候補。一方、村の男・アブどんは選挙管理委員のボートさんに投票するよう言われるが、「選挙なんか関係ない」と棄権。(→児童たちが投票→開票)

B後半(キャンディさん勝利の場合):アブどんは採れた農作物をお祭りで売ろうとするが、ボートさんから「お祭りがなくなった」と聞いて怒り出す。ボートさんは冷静に「投票しなかった者が何を言っても無駄」と諭す。反省したアブどんは、次の村長選挙への立候補を宣言する。

C後半(デイトさん勝利の場合):アブどんはリンゴの木の世話に励んでいるが、転んでけがをし、木まで行けなくなってしまう。「川を渡る橋があればすぐに行けるのに」と文句を言うが、ボートさんは「投票しなかった者が何を言っても無駄」と諭す。反省したアブどんは、次の村長選挙への立候補を宣言する。

アニメ動画の利点は、やはり分かりやすさです。これまでも、分かりやすさを追求するためのさまざまな教材・資料がありましたが、特に政治という児童にとって難解だと想定される分野を扱う場合は、この点をより重視する必要があります。その点でアニメ動画は、児童が親しみやすいキャラクターや意図が伝わりやすいストーリーを柔軟に設定でき、視聴覚的な効果によって感覚的に主題を理解しやすい環境を提供できるという強みがあります。

また、この出前授業は、その教育的効果を明らかにするための研究の一環として行っています。教育効果を測る際は、複数の授業を比較する手法が有効ですが、模擬投票や政策討論では、司会進行の仕方や場の雰囲気によって児童が影響を受け、同一の環境を確保できないという問題がありました。この点、アニメ動画の場合は最低限の同一性が担保でき、効果や課題を分析する際の比較に適していると考えられます。


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