【PBL授業実践ガイド―理論編(6)】成長期にやることとよく起こる問題①

プロジェクトエディター 前田考歩
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成長期の段階では、誕生期に立てた仮説を実行・探索します。「立てた仮説が妥当だったか」「選択した手段が適切だったか」を確かめていきます。成長期の中にも取り組む段階があります。

成長期のサイクル

まず、仮説を実行する段階、次に実行した結果、世界から返ってきたフィードバックや結果を観察・記録する段階、観察・記録したものを評価・検討する段階を経て、最後にこれまでの仮説を更新する段階という流れになります(図)。成長期はこの4つの段階を繰り返します。

最初に立てた仮説通りに目標が達成されることは、まずありません。実行して初めて気付く抜けや漏れ、想定とは違う反応が返ってくることもあります。このとき、プロジェクトに慣れていない児童生徒は「こんなはずじゃなかった」と慌て動揺します。無理もありません。これまでは学ぶべき内容を先に示され、それを確実に覚え、実行すれば正解する経験を積み重ねてきたわけで、ひどいときにはやる気を失います。児童生徒は自分たちがやることを明確にし、結果を保証し、間違えない指示を教師から出してほしいと思う気持ちと闘うことになります。教師には、PBLに臨む児童生徒のマインドセットを変えることが求められます。

具体的に、教師は児童生徒に次のことを伝える必要があります。最初に立てた計画はあくまで仮説であって、仮説通りに進んでいないということは、取った手段やあるべき状態が目標の実現には最適ではなかっただけで、また仮説を更新すればいいということ。最初の因果にとらわれず、新しい因果関係をつくり出していくこと。動き出す前にはどうしても見えないことがあり、動いて初めて分かるものがあるということ。そして、学習が全て終わってからプロジェクトを進めるのではなく、学習し続けながらプロジェクトを進めていくのがPBLだということです。

成長期では、事前に分からなかったことが多発します。そうした環境では主体的に情報を解釈・創造し、世界に対して積極的に働き掛けていく必要があります。積極的に働き掛けるには、実行した結果の評価をプロジェクトが終わってから総括的に行うのではなく、仮説を実行するたびに形成的に行っていかなければなりません。評価とは判断です。自分たちが目標に向かって進めているかを評価・判断するために、まさにD・A・ショーンが提唱した「行動の中の省察(reflection in action)」を行っていくのです。

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