【小学生からの「主権者教育」(5)】出前授業の流れ

弘前大学教育学部専任講師 蒔田純
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筆者が行う出前授業は、以下のような流れで行います。最初に、この授業では「選挙」についてアニメ動画で学ぶこと、動画はポリポリ村という村の村長選挙が舞台であり、本日村長を投票で決めるのは児童自身であること等を説明します。「選挙」は偉い人を選ぶことだと思っている児童が多いようですが、例えば「明日の給食のメニューをクラスで一つ決めるとしたら、その時にも選挙は使えるんだよ」といったように、選挙とは私たちの生活に身近なものであることを強調します。

典型的な児童の議論展開

次に、動画の前半部分を上映し、キャンディさん(橋建設派)とデイトさん(お祭り実施派)のどちらがよいと思うか、議論させます。最初に出てくる意見は、「橋を造れば生活が便利になるから」「お祭りは5年くらい中止しても我慢できるから」(橋建設派)、「お祭りはずっと続いてきた伝統があるから」「今ある道を通れば橋を造らなくても川は渡れるから」(お祭り実施派)等であり、動画を見れば当然に出てくる素直な意見と言えるでしょう。

ここで、より議論を深めるための問い掛けをします。例えば、筆者が住む青森県では「ねぶた祭り・ねぷた祭り」という地域を代表するお祭りがあります。県内の小学校なら「ねぶた・ねぷたがなくなったらどう思う?地域にどんな影響がある?」と尋ねれば、橋建設派の児童たちも一斉に考え始めます。お祭りは人を楽しませるだけでなく、地域の経済にも必要なものだと伝え、一方で、人々がお祭りに来て楽しむには、やはり道や街並み等のインフラが整備されていなければ、と加えることで、ますます議論が深まっていきます。ある程度話し合いをしたら何人かに意見を発表してもらい、さらにはお互いに質問し合って、全体での議論を深めていきます(典型的な議論の発展の形は図参照)。

その後、投票に移ります。児童は投票用紙に候補者の名前を書き、投票箱に投票します。大半の児童は生まれて初めての選挙なので緊張しますが、投票を終えた顔は皆、どこか誇らしげです。全員が投票したら、その場で開票します。

「キャンディさん」「デイトさん」と読み上げるたびに歓声が上がり、大いに盛り上がります。選挙結果は各学校によってまちまちですが、票が拮抗することが多く、何回かは同票になったこともあります。その場合は、本物の公職選挙と同じく、くじ引きで当選者を決定します。

その後、当選した候補者によって異なるバージョンの後半動画を流し、残りの時間でアンケートに記入してもらって授業は終わります。


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