【PBL授業実践ガイド―理論編(7)】成長期にやることとよく起こる問題②

プロジェクトエディター 前田考歩
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分からないことが多く存在するプロジェクトでは、状況を瞬時に読み解き、適切に問題を設定するなど、即興的な対応を行う「省察的実践者(Reflective Practitioner)」になることが求められます。仮説を実行し、未知を既知に塗り替え、予定外の事象に臨機応変に対応し、個別暫定解を出し続けていきます。

プロジェクトを表現する「プ譜」

しかし、これにはデメリットがあります。思考がその場しのぎになりがちで、手段が目的にすり替わってしまったり、知らず知らずのうちに誤った方向へ進んでしまったりといった問題が起きるのです。そのために行っておかなければいけない作業が「記録」です。

プロジェクトは、開始前にありたい姿に向かって見栄えの良いプレゼン資料を作成し、華々しくスタートします。スタート後は定例会議などで必要な作業を並べたタスクリストやスケジュール表を見て、「滞りなく作業が行えているか」「遅れはないか」など、進捗状況を確認していきます。

仮説通りに進んでいるならば問題ありませんが、これまで述べた通り、プロジェクトは当初の計画通りには進みません。

最初に立てた仮説は一つ一つの作業・要素が、目標に向かって全体最適になるよう構成されているはずですが、予想していたこととは違う結果が返ってきたり、想定外の事象に遭遇したりしたときは、当初の仮説を修正・変更する必要があります。やり方ややる順番の変更、投下する量の変更、当該作業の中止といった意思決定を行います。

全体最適になるよう構成していたものを修正・変更・停止するとなると、新たに構成し直さなければなりませんが、この意思決定の記録と共有が多くのプロジェクトでは行われていなかったり、不十分だったりします。

その結果として、プロジェクトの目的と手段が入れ替わったり、プロジェクトの停滞や炎上につながったりしてしまいます。だからこそ、こうした意思決定と再構成したプロジェクトの進め方、すなわち更新した仮説を記録することが必要なのです。

未知のプロジェクトを進めるための仮説は、未開の地を開拓するための地図のようなものです。起こった出来事は、議事録やスケジュール表に記録できます。新たに行わなければならない作業は、タスクリストに追記できます。

しかし、プロジェクトの目標に向かって、どのようなルートを取り直し、そのために他の要素がどのような影響を受けるのかを表現する手段が、これまでのプロジェクトにはありませんでした。そのための手段が、プロジェクトを将棋の棋譜のようにメタ的に記録するツール「プ譜」です。

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