【小学生からの「主権者教育」(6)】アンケートから見る児童の反応

弘前大学教育学部専任講師 蒔田純
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授業の前後では、児童の意識の変化を捉えるべく、簡単なアンケート(事前・事後で同じ内容)を行っています。事前アンケートは授業の1週間程度前に、事後アンケートは授業の最後に、それぞれ記入してもらいます。

アンケート結果(弘前市立A小学校第3学年42人)

ここでは、青森県弘前市立A小学校(第3学年42人)の結果を見てみます(図参照)。「Q1:物事はみんなで話し合って決めるのがよい」は、事前でも相当数が肯定的な回答をしていましたが、事後ではさらに伸び、約8割が「そう思う」と回答しています。また、「Q2:話し合いをしても決まらなかった時、投票で決めるのがよい」は、事前では3人だった「そう思う」が、事後では大きな伸びを見せています。この2問については、おおむね期待したような効果が表れていると解釈できます。

これに対して、「Q3:みんなを引っ張っていくリーダーになろうと思う」では、「そう思う」「どちらかと言うとそう思う」と肯定的に回答した子供の割合に、大きな伸びは見られませんでした。むしろ「そう思う」は減っており、「どちらかと言うとそう思う」と合わせても、事前・事後で横ばいとなっています。こういった傾向は、学校や学年を問わず見られました。

こうしたデータから、話し合いとそれに続く投票によって全員で意思決定を行うことの意義は理解できたとしても、自ら代表となって皆を引っ張っていくという積極的な態度には、容易にはつながらないことが確認できます。動画を視聴し、実際に「橋か、お祭りか」という二者択一を迫られてみると、一つに決めることの難しさやリーダーとして皆の意見をまとめることの大変さがよりリアルに感じられ、それがアンケートにも反映されていると考えられます。

事後アンケートでは、「投票した理由(Q4)」も尋ねています。これについては、「お祭りをやったとしても、くねくね道だけでは人があまり来られないから(橋建設派)」「橋を造っても、何か村に行きたいと思えるものがないと人は来ないから(お祭り実施派)」など、両者を比較考量しつつ結論を導いていることをうかがわせる回答が多く見られました。

また、「アブどんが投票しなかったことをどう思ったか(Q5)」も質問しています。これには、「投票しなかったら、文句を言う権利はない」「物事を決めるのに、自分の一票を使わないのはもったいない」など、自分の一票と全体の意思決定を結び付けて捉えている回答が数多く見られました。棄権は自分の意思を結果に反映する権利の放棄であることが、多くの児童に正しく認識されていると理解できます。


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