【PBL授業実践ガイド―理論編(8)】PBLを進めていくための「プ譜」

プロジェクトエディター 前田考歩
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「プ譜」とは、時系列的な遷移を含む、逐次変化するプロジェクトの状況・関係性・全体像を可視化するための記述方法です。プ譜はプロジェクトのライフサイクルに応じて機能が変わります。誕生期に使えばプロジェクトの仮説立案に、成長期に使えば実行したことと返ってきたフィードバックに対する意思決定の記録と仮説の更新に使えます。また、円熟期に使えば、プロジェクトのポートフォリオとして発表したり、そこから教訓を得たりすることに使うことができます。

「プ譜」の記述要素

プ譜は5つの要素を1枚の紙に記述します。「獲得目標」はプロジェクトで目指すゴールや実現したい目標、解決したい課題のこと。「勝利条件」は「獲得目標」が達成できた、実現したと言える状態、評価指標、判断基準。「中間目的」は「勝利条件」を達成するために、プロジェクトに関わる要素が「どんな状態になっているべきか」という「あるべき状態」。「施策」は「中間目的」の状態を実現するための手段で、具体的に行う作業・行動。そして、「廟算(びょうさん)八要素」はプロジェクトを行うための所与のリソース、置かれている環境のことです。

獲得目標と勝利条件は「未来のありたい姿」。廟算八要素は「今ある現在の姿」。中間目的と施策は未来と現状をつなぐプロセスの仮説を表しています。これを仮説立案で1ページ。実行した結果や反応を書き込んで2ページ。結果と反応を評価・意思決定して仮説更新して3ページというふうに、将棋の棋譜のように局面ごとに更新して使用します。

誕生期に未知なプロジェクトを進めるための仮説を立てる際、ポイントとなるのが勝利条件と中間目的です。サッカーで例えるなら、「ゲームに勝つ」ということが獲得目標で、どのような内容で勝つのかが勝利条件です。観客がハラハラドキドキしながらも5―4で攻め勝つのか、それとも1点も入れさせずに1―0で勝つのかというものが勝利条件なのです。勝利条件をどのように表現するかで、プロジェクトの進め方がガラリと変わります。

中間目的は諸要素のあるべき状態です。プロジェクトでは先に手段を思い付いて、それを全て実行すれば目標が実現できると思いがちです。しかし、手段は世の中に数多く存在し、全て実行することは有限有期では不可能です。その手段が本当に、目標の実現に影響を与えられるかも分かりません。そこで必要なのが、「関わる要素がこうなっていたら成功するだろう」という状態を定義する中間目的なのです。これが数ある手段を選択する基準にもなります。

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