【子どもたちからのSOS(9)】子どもに影響を与える保護者の心の状態

国立成育医療研究センター「コロナ×こども本部」
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本連載の第2回で、子どもたちの心の状態に関するデータを紹介した。実は、保護者の心の健康が、子どもの心身の健康に大きな影響を及ぼすことが知られている。今回は、コロナ禍における保護者の心の健康、子への関わりについて考えたい。

2020年11~12月に実施した第4回調査では、保護者の29%に中等度以上のうつ症状が見られた。また、約半数は何らかのうつ症状によって仕事や家事、対人関係に困難が生じていると回答した。保護者が悩んだ内容、悩んでいる内容については、「子ども・子育てのこと」が76%で最多、続いて「自分の体や健康のこと」「お金(家計)のこと」「仕事のこと」「自分の心・気持ちのこと」がいずれも50%前後該当した(図)

保護者が抱いている悩み

保護者自身のストレス対処行動についても聞いた。「この1カ月間、リラックスする時間をとるなど、あなたご自身のストレスに対処することがありましたか?」という質問に対して、「全くない」は12%、「少しだけ」「ときどき」は合わせて74%だった。

また、「近しいと感じる・信頼できる人と、望む程度の連絡を取っていましたか?」に対して、「全くない」は13%、「少しだけ」「ときどき」は合わせて62%であった。

つまり、8割程度の保護者は、自身のストレスに対処したり、近しい人と連絡を取ったりすることが十分にできていない状況にあることが分かった。さらに、同調査の別の質問で、3人に1人の母親が「食事をつくる心の余裕がコロナ前よりも少なくなった」と回答した。

同調査では、子どもへの関わりについても尋ねた。直近1カ月間に子どもを「たたいた」「ののしったり脅したりした」「感情的に怒鳴った」が当てはまると回答した保護者は、それぞれ20%、31%、64%だった。低学年の保護者ほど、その割合が高くなっていた。

保護者の心の健康が損なわれると、子どもへの好ましくない関わりや、子どものメンタルヘルス低下につながりかねない。コロナの影響が長期化する中、いわゆるハイリスクの家庭だけでなく、多くの家庭にひずみが生じているものと考えられる。

学校の先生は、子どもの様子に気になることがあった場合はもちろん、そうでなくてもぜひ、保護者とのコミュニケーションをもう一歩試みていただきたい。先生からの声掛けや情報共有は、特に孤立しがちな家庭にとっては大きな救いの手になるはずだ。


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