【小学生からの「主権者教育」(7)】テキスト分析で見る児童の反応

弘前大学教育学部専任講師 蒔田純
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児童たちの反応をさらに詳しく見るため、文字を対象とした分析手法である「テキストマイニング」を使います。ここでは、データ項目間の関係性を視覚的に理解する手法である「対応分析」を行ってみます。

図は、これまで出前授業を行った16校317人の児童の「Q5:アブどんが投票しなかったことをどう思ったか」への回答と、「Q3:みんなを引っ張っていくリーダーになろうと思う」への回答の関係性を表しています。

対応分析結果(Q3「リーダー志向性」とQ5「アブどんへの印象」)

グラフ内の1~5の数字は、Q3への回答「1.そう思う」「2.どちらかと言うとそう思う」「3.どちらとも言えない」「4・どちらかと言うとそう思わない」「5.そう思わない」の空間上の位置を示しています。Q5に対する回答で使われた語は点で表されており、似たような出現パターンの語同士は点の距離が近く表示されています。

対応分析では原点(0,0)からの距離が遠いほど、その項目全体における特徴的な語と解釈できるので、ここでは「最後」「自業自得」「関係」「文句」「参加」「大切」「聞く」「変わる」などが、児童のアブどんに対する意識を表す上で特徴的な語だと判断できます。これを踏まえて各語とQ3との関係性を見てみると、自らの棄権を反省し、次期村長選に出馬を表明するというアブどんのポジティブな側面に関係が深いと考えられる「大切」「後悔」「参加」「変わる」「知る」といった語が、1,2というQ3の肯定的な回答と空間上の同方向に位置していることが分かります。一方で、利己的な理由で棄権したアブどんのネガティブな側面に関係が深いと考えられる「自業自得」「結果」「駄目」「文句」といった語が、3,4,5というQ3の否定的な回答と同方向に位置しています。これより、児童たちはアニメ動画の内容(アブどんへの評価・印象)と民主主義的な意識(リーダー志向性)をある程度結び付けて考えているのではないかと理解できます。

また、追加的に、多くの変数から少数の代表的な指標を抽出する「主成分分析」も行ってみました。Q5に対する回答から50の頻出語を取り出して主成分分析にかけた結果、「立候補」「反省」「後悔」「変わる」「参加」「村長」「自分」などから成る軸と、「自業自得」「残念」「悪い」「駄目」「結果」「文句」などから成る軸という2つの軸が抽出されました。それぞれの軸とQ3との間で相関係数(変数間の関係性の強さを示す値)を調べたところ、二つ目の軸で統計的に有意な数字が出ており、ここからも、児童は意識内でアニメ動画の内容と民主主義的志向をリンクさせているのではないかという解釈が可能です。


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