【PBL授業実践ガイド―理論編(9)】仮説を立てながら合意形成する方法

プロジェクトエディター 前田考歩
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「プ譜」は誕生期に使用すると、ただ仮説を立てるだけでなく、メンバーと合意形成しながらチームの志向性(対象に向かう意識の動き)をそろえた仮説を立てることができます。具体的には「My Project」「Your Project」「Our Project」という3つの手順を踏みます。

合意形成までの手順

My Projectでは一人一人のメンバーがプ譜を書いて、「自分はこうなったらプロジェクトが成功すると思う」と仮説を立てます。一人ずつ書く理由は、そのプロジェクトに強い愛着や希望を持っていたり、声の大きいメンバーの意向だけで進めたりすると、誕生期に必要な豊かな選択肢を持ち得ないからです。貴重な意見やアイデアを持っているのに、その場の雰囲気や流れで話せないという状況が、見えていないだけで起きています。全員が同じ場で討論するよりも、前もってメンバーに自分の仮説を提出してもらえば、グループ間の知識や意見の多様性を生かすことができます。したがって、この時点で互いの考えていることがバラバラという状態は歓迎すべきものです。

次にYour Projectでバラバラなお互いの仮説を発表・共有します。ここで、同じ目標でも人によって勝利条件や中間目的の表現が違うことが分かります。重視するポイントが異なっていたり、デメリットだと捉えていたことが人によってはメリットとして捉えられたりといったことが分かります。ただこれを放置したままでは「船頭多くして船山に上る」ことになるため、全員が腹落ちする共通の仮説をつくり上げる必要があります。

チームメンバー全員が腹落ちする一枚のプ譜に収斂(しゅうれん)させていくプロセスがOur Projectです。全員が納得する勝利条件の表現を決めることができれば、仮説立案は難しくありません。しかし、勝利条件がコンフリクトしてしまう場合は、より上位の共通善(Common Good)にさかのぼったり、弁証法を用いたりします。

前回、サッカーで勝つという目標に対し、「5―4で勝つか、それとも1―0で勝つか」という勝利条件を例に出しました。守備陣は1―0。攻撃陣は5―4で勝つことを望む場合、この衝突を防ぐ上で、「自分たちがどうありたいか」だけではなく、「関わる人、支えてくれる人がどうなってくれていたら成功と言えるか」という視点を持ち込むことで、衝突をきっかけにより高位の勝利条件を導き出すことができます。

もっとも、残された時間や使えるリソースを無視することもできないので、現実的な条件も鑑みて勝利条件を決めていきます。

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