【小学生からの「主権者教育」(8)】出前授業で気を付けていること

弘前大学教育学部専任講師 蒔田純
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「ポリポリ村のみんしゅしゅぎ」を使った出前授業は、2021年2月現在までに、18の小学校で25回実施しました。地域や学年によって少しずつ児童への問い掛けや議論の仕方などを変えていますが、一方で、共通して守っていること、気を付けていることもあります。

「ポリポリ村のみんしゅしゅぎ」のキャラクター(左上:アブどん、右上:デモくん・エレちゃん(村の子供)、左下:キャンディさん・デイトさん、右下:ボートさん)

まずは、児童たちがキャンディさんとデイトさんのどちらに投票するかを決める際は、必ず政策ベース(橋か、お祭りか)で判断させることです。これは当たり前のことですが、極めて重要です。小学生向けということもあり、「ポリポリ村のみんしゅしゅぎ」のキャラクターはどれも、特徴的な見た目や話し方をしています。もし、児童たちが見た目や話し方など政策とは直接関係のない要素を判断基準にして、「こっちの方がかっこいいから、かわいいから」という理由で投票先を決めてしまえば、本来の目的とは全く異なる授業になってしまいます。

この点は筆者が授業中に何度も強調していることもあり、アンケートの「投票した理由」を見ても、政策とは関係のない要素を理由に挙げる児童はほとんどいません。実際の公職選挙では候補者のポスターを見て「美人だから」「イケメンだから」といった理由で投票する人を間々目にしますので、この点では児童たちの方が中身の濃い選択を行っていると言えます。

また、どちらに投票するかを自分で決めることも重要です。投票に先立って話し合いをしますので、その際に出た他の人の意見は大いに参考にすべきです。しかし、最終的には「自分はどう考えるか」が大切であり、自分だけの判断で投票することを徹底させています。小学生の場合、少数の人気者や声の大きな子に流されたり、仲の良い友達同士で同じ選択をしたりといったことがありがちです。決してそうはならないように、投票用紙に記入する際はなるべく他の人には見せず、用紙を二つに折って投票するよう伝え、またどちらを書いたのか声に出して言わないようにと指示します。

加えて、選挙の結果を受け入れることの大切さも強調します。二人の候補者のうちどちらかが勝つわけですから、負けた方はやはり悔しいと思います。大抵は僅差になりますので、なおさらです。しかし、選挙で村長を決めるということ自体は最初に皆で合意したわけですから、負けた方も結果に文句を言うのではなく、素直に受け入れなければなりません。勝ち負けに関係なく、その後の村の運営に意見を反映させていくことはできるわけで、むしろこの選挙を皆で村をつくっていくための始まりと捉えてほしいと伝えています。


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