【PBL授業実践ガイド―理論編(10)】教師が書く「プ譜」と生徒が書く「プ譜」

プロジェクトエディター 前田考歩
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PBLにおける「プ譜」のメリットは、児童生徒自身のプロジェクトを進めるためにも、教師が教室や学年でPBLを進めるためにも使用できるところにあります。

 

教師が書いた「プ譜」

児童生徒がプ譜を書けば、合意形成をしながらの仮説立案、実行期で仮説を確かめて仮説が正しかったのかを振り返ることなどを支援します。また、実行期においては目標実現に適した別の手段が見つかったとき、従来の手段に固執してしまいがちですが、プ譜で手段と目的の位置付けをはっきりさせることで、手段が目的化してしまう事態を避けることもできます。

プ譜があることで、教師は児童生徒が合意形成しながら仮説を立てるための問い掛けをしやすくなります。また、児童生徒が実行して起きた結果や世界からのフィードバックを解釈する際の支援も行いやすくなります。

評価を行いやすくするのもプ譜の特徴です。プロジェクトに求められる能力や資質、態度には、「仮説立案」「実行・対応・意思決定」「メンバーの当事者意識、チームへの貢献」などがあります。「仮説立案」の力が弱いとプ譜の中間目的や施策は少なく、スカスカになります。メンバーの当事者意識が低かったり、合意形成が十分でなかったりすると、ある施策を任されたメンバーの施策が実行されず、プ譜が新しい局面に移行しません。円熟期は残り時間が少なくなり、未知や不確実性が下がっているので、プ譜に現れる未実行の施策数が減っていなければなりませんが、数が多いということは実行すべきことがされていなかったり、問題を絞り込めていなかったりすることの現れです。

最後に、プ譜を教師自身が書いてPBLを進めていく方法を紹介します。あるテーマで学級や学年でプロジェクトに取り組む際、教師はそのプロジェクトを進めるために必要なスキルや知識を把握し、児童生徒らのプロジェクトの目標とは別に、メンバーの状態やパフォーマンスを評価するためのティーチングポートフォリオ的なプ譜を書くことができます。勝利条件には、プロジェクトを通じて「なっていてほしい」児童生徒の姿。中間目的には、そのための個人の知識やスキル、成果物の状態。施策には、それを実現するために教師が支援・準備できることを書きます。教師が書くティーチングポートフォリオとしてのプ譜と、児童生徒が書くプロジェクトポートフォリオとしてのプ譜を併用することで、互いが未知なプロジェクトをより良く進めて行けるようになるのです。

次回からは、理論編でお伝えしたプロジェクトの原理やプ譜を用いて、具体的な授業展開を紹介する実践編に移ります。

(おわり)

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