【PBL授業実践ガイドー実践編(1)】新学期にPBLを導入するために

学びの道教育研究所代表 池田哲哉
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今年度から中学校で新学習指導要領が全面実施を迎えます。そこではアクティブ・ラーニングが推奨され、それに伴いPBL(Project Based Learning)という言葉もずいぶんと目にするようになってきました。

既存のシステムを乗り越えて新たな価値を作るPBL

なぜ今、PBLが注目されているのでしょうか。PBLは約20年前に始まった「総合的な学習の時間」などで、すでに使われた過去があるのです。その当時と大きく違うのは、既存の価値体系では解決できない課題が山積しているという現状です。国連の持続可能な開発目標(SDGs)をはじめ、大きな課題を解決しなければならない新たな世代を生み出すために、自ら科目を横断して考え、学校を越えて外部の人と接して学びを得るというPBLの必然性が見えてきます。そのためには、教員にも「越境」=「境界を越えて、今までなかった関係性を持つこと」が求められているわけです。

こうした背景もあり、全国的にPBLが行われるようになりました。しかし、私が取材を進めていく中では、学校の中でPBLを行おうと孤軍奮闘している先生も多く、「そんな先生を応援しなければ」との思いが強くなりました。それ以来、全国各地の頑張っている先生を応援すべく、取材とヒアリングを進めています。本連載では、その成果を実践編として伝えていけたらと思います。

新年度、教育デザインの中にPBLを入れようと検討している先生方の参考になればと思い、「プロジェクトのライフサイクル」に沿って知見を共有させていただけたらと思います。昨年度、PBLを導入した米子市立東山中学校の動画が参考になるのでご覧ください。

さて、PBLのデザインを考える上では、次の点によって大きな違いが生まれます。

PBL実施の規模の違い
  1. 通常授業や放課後の特別授業としてクラス単体で行う場合の課題
  2. 複数の先生方がチームとなって取り組む場合の課題
  3. 全校的に学校を挙げて取り組む場合の課題
  4. 学校を越えたネットワークを使いながら進める場合の課題
どの立場でデザインするか
  1. PBLを担当する教員
  2. PBLを指導する主任
  3. PBLを導入しようとしている校長・理事

これらの違いによって、課題やポイントが異なってきます。PBL導入はどの立場の先生にとっても、チャレンジングなことです。児童生徒がプロジェクトにチャレンジするのと同じ気持ちになって、皆さんもご自身の「プ譜」(詳しくは本連載の「理論編」を参照)を作成し、一緒に考えてもらえたらと思います。

【プロフィール】

池田哲哉(いけだ・てつや) 慶應義塾大学SFC研究員(鈴木寛研究会所属)。小学校受験に向けた子供の行動観察やICTを使った新しい学びを提供する「学びの道教育研究所」の代表を務める。PBLを進めるための「InnovationPBL CANVAS」を開発、2018年にカナダの国際カンフアレンスCICE2018で発表。日本テレビの教育事業「日テレエデュプロジェクト」メンバー。未来の先生展第1回実行委員。その他多数の教育プロジェクト、講演、教育コンサル活動を行う。

「今回の解説動画」はこちら

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