【対話から始める学校づくり(2)】なぜ今、「学校内民主主義」が必要なのか

日本若者協議会代表理事 室橋祐貴
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前回紹介しましたが、日本若者協議会では、なぜ「ブラック校則」の見直し(撤廃)ではなく、「学校内民主主義」と呼んでいる学校内でのルールメイキングの見直しを求めたのでしょうか。その大きな理由の一つは、日本の若者の政治参加が進まない要因となっている「政治的有効性感覚」の欠如にあります。

政治的有効性感覚とは、「私の政治参加により、変わってほしい社会現象が少し変えられるかもしれない」という感覚のことです。日本の若者はこの感覚が他の先進国の若者と比べて、非常に低くなっているのが現状です。

日本財団が2019年に日中韓米英など9カ国で実施した「18歳意識調査」では、「自分で国や社会を変えられると思う」と答えた人が日本は約2割(18・3%)で最低となっており、イギリス(50・7%)、アメリカ(65・7%)などの欧米諸国より大幅に少なく、韓国(39・6%)の半分以下にとどまっています。また、「自分は責任がある社会の一員だと思う」と答えた人も、諸外国の半分程度となっています。

この背景には、児童生徒にとって最も身近な社会である学校で、ルールメイキングに参画できていないことがあるのではないでしょうか。

「民主主義」という仕組みについて教わるものの、学校が民主主義を実践できる場になっておらず、肌感覚として「自分は社会の担い手の一人」と感じる機会に乏しい状況があるのです。

教育学者の苫野一徳准教授(熊本大学)はこう指摘しています。

「よく、若者は政治に興味がないとか、投票に行かないとか言われます。でもその責任は、実は多くの場合、学校にあるのではないかとわたしは思います。学校は変えられる、自分たちでつくっていける。そんな感覚を、多くの子どもたちは持てずに学校生活を送っているのではないでしょうか。そんな彼ら彼女らが、社会は変えられる、自分たちでつくっていけるなんて思えないのは、当然のことです」(『ほんとうの道徳』)

実際、欧米諸国では、主権者教育の一環として「学校運営への生徒参加」が行われています。

例えばスウェーデンでは、幼稚園の頃から遊具の使い方などについて子供たちが意見を聞かれます。また、小学校では「給食協議会」(Food Council)が置かれるなど、発達段階に合わせて児童側と学校側が学校生活に関して意見を交わすための場が設けられています。こうした場を通して、自らの手で「社会」をつくり、最終的には地域や国づくりに参画していく資質が育まれるわけです。

そうした機会が、日本にももっと必要ではないか。そのような思いから、日本若者協議会では「学校内民主主義を考える検討会議」を設置し、学校のルールメイキングの在り方について考え始めました。

 


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