【ほめ方叱り方(2)】モンテッソーリ教育の特徴

モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育研究者 島村華子
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モンテッソーリ教育の特徴を、三つの観点から紹介します。一つ目は「子どものイメージ」、二つ目は「教師の役割」、そして三つ目は「学習方法」です。

一つ目の「子どものイメージ」とは、子どもの存在、才能、責任をどのように解釈しているかということです。歴史上、子どもは「空っぽの器」という風に考えられてきました。「子どもは何も知らないからこそ、大人が教えて形成するべき存在」という偏見に基づくもので、この考え方を基に詰込み教育が横行し、今もこの伝統は色濃く残っています。

これに比べて、モンテッソーリ教育は、子どもは独立した市民であり、生まれながらに学習意欲や自己実現欲を持ち合わせた有能な学習者であると捉えている点で、従来のイメージとは大きく異なります。子どもへの絶対的な敬意、子どもの自己形成力を信じる目線が、子どもの「自分でやりたい!」という気持ちを尊重する原点になっているのです。

次に、二つ目の「教師の役割」ですが、教師は子どもの助手として、学びをサポートする役割を担います。子どもの内なる学習意欲を喚起するために、大人はファシリテーターとして子どもに寄り添い、子どもたちが生来持っているものを表現するために力添えをするのです。

教師の役目は、学びのドアを開けることではなく、子どもに鍵を渡すことです。「教え込む」ことは「割り込む」ことであり、鍵を奪い取って勝手にドアをこじあけるのと同じです。学習の主人公はあくまで子どもであり、一方的に知識伝達をするようなことはしません。また、教師は環境の一部です。教師が子どもの興味を見逃さないように観察するスキル、その子どもに適した期待値を設定するスキル、発達段階に合った教材を用意するスキル、自分自身の良さや課題を内省できるスキルが問われます。

最後に三つ目の「学習方法」については、一人一人の子どもに合わせた体験学習が中心となります。教師は、子どもの興味や行動を観察して、個別にカリキュラムを組み立て、適切な実践教具を紹介します。子どもは、紹介された中から自分のやりたい教具を選び、いつ、どのくらいの時間、誰と使うかを決めます。手は知識構築の道具だと考えられており、おままごとではなく、本物の道具を使って実際にやってみることが重視されています。

子どもはそれぞれ、やりたいことも学習速度も違います。ですから、一斉に同じことをすることはほとんどありません。モンテッソーリ教育では、子どもの自律性や興味が尊重されながら、教師との連携の下で、子どもが自分自身の教育に積極的に関わっていくのです。


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