【AI時代の探究のヒント(2)】歩けばみつかり、わかりたくなる

一般社団法人みつかる+わかる代表理事 市川 力
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東京コミュニティスクール(TCS)を設立しようという思いの中心にあったのは、小学生が小学生時代を伸びやかに生きられていないという問題意識であった。「なるべく早いうちから英語や算数をたくさん学ばせ、将来のために準備するのがよい」などと、早期教育をあおる風潮への違和感だ。

あてもなく「探索」するうちに、「研究」したいものが「みつかる」

すぐにできたり、わかったりするのを目指すのではなく、ゆるりとじわじわ進む。たくさん道草、寄り道をしながら「今」を大事にする学びをしようではないか。小学生時代だからこそ味わえる体験。それは長い人生を支える体験にもなるので、「原体験」と私たちは呼んでいる。

民家で始めたスクールのため、スペースが狭い。図書室もなければ実験室もない。だから学びのリソースを求めてとにかく外へ出た。あちこち歩き回り、まちの中で発見したことをベースに学びを組み立てた。おのずと「原体験」が子供たちに蓄積されていった。

さらには、大人である私も、子供たちを指導する立場ではなく、「謎」を共に解明してゆく「おっちゃん」と呼ばれるようになった。

「おっちゃん、この辺りのお店って、英語でなんか書かれているよね」

「これ英語じゃないよ。どこの国の字かな」

「違う言葉で話している人が多いね」

ちょっと歩いてみるだけで、東京には多くの外国人が暮らしていることに気付く。この実感を原点として、外国から来た人と私たちとのつながりについて調べてみようということになる。なんとなく気になることを歩いて取りあえず集める。するとそこから「謎」が浮かび上がる。あてもなく「探索」するうちに「研究」したいものが「みつかる」。すると本やネットを調べたり、専門家に会ったり、博物館や資料館などに出向いたりして「わかり」たくなる。これこそが、私が「探究」と呼んだ学びの姿だった。

こうした学びをTCSだけでなく広く一般に広めるべく、私はTCSを2017年に「卒業」し、20年に一般社団法人「みつかる+わかる」を仲間と共に立ち上げたのである。


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