【PBL授業実践ガイドー実践編(6)】プロジェクト課題の枠組みの設定方法

学びの道教育研究所代表 池田哲哉
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PBLでは、「やりたいこと」がプロジェクトの出発点となります。だからといって、やりたいことなら何でも採用してよいのでしょうか。一方で、「やりたいこと」を制限すると、結局「先生の求めている正解」を当てにいく世界に戻ってしまいます。この点について、プロジェクト課題の枠組みから考えてみます。

課題設定の方法
①ゴール設定を完全に自由にする

「総合」などで使いやすい設定ですが、指導者がPBLに慣れていることが前提として必要です。児童生徒からどんなプロジェクトが出てきても、「越境」させられるネットワークや経験的自信が必要かもしれません。

②ゆるいゴールのみ設定する場合

例えば、SDGsに関係あるものに限定するといった設定方法です。ある程度の範囲に制限することで、指導者が用意しておくべき学校外リソースの範囲、知識の範囲などを 限定的にすることができ、教員の負担がある程度軽減できます。しかし、肝となる「自分の限界を超える」ハードル設定をどのように導くかは、指導者の腕の見せどころとなります。

③明確なミッションを設定する場合

使える時間が少なく、狙いとする学習領域が限定されている場合、ミッションとして課題を設定してしまうやり方です。この場合、子供たちの主体的な意欲が限定的になる可能性があるので、大切なのが「ミッションの面白さ」です。例えば、企業とのコラボや海外を絡めた実践にする、普段使えない動画作成などを行う、地元自治体の観光課からPRのミッションをもらう、などが挙げられます。

活動を生徒の忖度(そんたく)ではなく、「主体的な交渉ごと」にしているのが、新渡戸文化学園の山本崇雄先生です(動画を参照)。

山本先生は、「パブリックリレーションズ」という概念を取り入れています。パブリックリレーションズとは、組織とそれを取り巻く人間(個人・集団)との望ましい関係を創り出すための考え方、行動の在り方のことで、倫理、双方向性コミュニケーション、自己修正 という三つの概念を使います。生徒が忖度をするのではなく、自らやりたいことを交渉する上で、この概念はとても大切なのだそうです。

例えば、授業中に「ゲームをやりたい」と言われても、先生は応援できませんが、「ゲーム開発をしたいので、研究のためにゲームをしたい」と言われれば、先生はサポートすることができるようになります。つまり、「自分が交渉すれば、やりたいことが実現できる」というように、学校のカルチャーを変えるわけです。

「今回の解説動画」山本先生の動画はこちら↓

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