【AI時代の探究のヒント(3)】「雑」を集め記録するためのデジタルツール

一般社団法人みつかる+わかる代表理事 市川 力
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東京コミュニティスクール(TCS)で培ってきた「探索」して「研究」する学びの特徴とは何か。それは、好きなこと、やりたいことだけにとらわれず、たまたま歩いて遭遇する「ちょっとしたこと」を見逃さない好奇心が育ち、なんでも面白がろうとするマインドセットが育つところだ。スクールの保護者はもちろん、学校関係者やビジネス分野の人たちから注目されたのも、その点だった。一方で、「読み・書き・そろばん」と呼ばれる基礎学力の部分をどう育てるのかが課題だと指摘されてきた。しかし、ここ数年の間にアプリの質はどんどん向上し、YouTubeなども活用しながら、時間や場所に制約されず、デジタル端末を使った知識・技能の習得が可能となった。

端末で植物を撮影する子供たち

その結果、リアルにまちに飛び出し、探索して学ぶことが、より一層クローズアップされるようになった。ネット検索で「ググって」すぐに知識を得たり、ウィキペディアなどのネット情報で分かったつもりになったりするのではなく、実際に歩き、体験し、発見したことから発想することの重要性である。

外に出て体験する学びにおいても、デジタルツールは大きな力を発揮する。アプリでドリルの課題をこなし、ネットを通じて対話をするだけでなく、あちこち歩いて発見したモノ・コトを記録するツールとなるのだ。

何となく気になるモノ・コトを追い求めてあてもなく歩くと、次第に発見の感度が上がってくる。「Field=現地・現場」を歩くことで「Feel℃=感じる度合い」が上がるので 「Feel℃ Walk」と私は呼んでいる。Feel℃ Walkをしながら気になったことがあれば、どんなものでも取りあえず写真に撮る。そして、撮影した写真はデジタルデバイスもしくはクラウド上にアーカイブしておく。そうすれば、いつでも自分の発見を検索できる。デジタルツールを活用しながら、足の向くまま歩き、発見の感度を高めながら歩く。

こうして「雑」集めを続けると、自分の頭の中の思考だけに縛られず、身の回りに転がっている何気ないことを見逃さずに気付く力が高まる。予定調和で、誰もが思い付きそうな発想に縛られないマインドの基盤が育つのである。


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