【AI時代の探究のヒント(5)】子供と大人がタッグを組んで発見を面白がる

一般社団法人みつかる+わかる代表理事 市川 力
この連載の一覧

前回、どのように「変」を面白がれるようになるかが探究の課題だと述べたが、実はもともと私たちは子供時代は「変」が大好きで、むしろ「変」なのを喜び、面白がっていた。年齢が上がるにつれて、いつしか好奇心にふたがされ、「変」と思われるのを恐れるようになるが、幼児や小学校の低・中学年ぐらいまでは、自分が面白いと思ったことを素直に発見できる。その特性を生かして大人と子供がタッグを組み、好奇心を発揮しながら学ぶことが重要だ。

「変」は新しい考えを生み出す

子供と歩いていると、「ここに小さな割れ目がある」「この木にたくさん小さい虫がいる」など、子供は大人が見過ごす部分をキャッチすることに気付く。子供の細部を観察する解像度は非常に高い。木の根っこの形を動物に見立てたり、穴を見つけたらそこに何かが隠れていると想像したりと、発見とともにファンタジーも動き始める。このとき、大人は子供の見つけたモノ・コトと彼らが語る妄想に満ちた思いつきや問い掛けをひたすら聞く。これは単に大人が子供に合わせるためではない。子供のこうした素の発見や思い付きに徹底して付き合うことで、フタがされた自身のものの見方や好奇心が揺さぶられるからだ。子供と共に歩くことで、大人の「Feel℃」がいや応なく高まる。子供のおかげで大人の好奇心は開かれ、観察力が鋭敏になるのである。

一方で、大人は子供の発見をさらに面白く発展させる技を持っている。「その虫はどうしてこの木にはいて、あの木にはいないんだろう?」などと意識的に視野を広げて俯瞰し、別の見方・考え方を提供できる。また、「穴で思い出したんだけど、こんな話があってね」というふうに、子供の思い付きや問い掛けを別のエピソードで膨らませることもできる。

このとき、大人がやりがちなのはいわゆる「指導的な」関わりである。知識や正解を教えようとしたり、質問してそれを答えさせたりする。しかし、そのような関わりはご法度だ。「そうきたか!」と子供の発見に素直に乗っかった上で、「どうしたらもっと面白くなるだろう」と考え、ひたすら一緒に盛り上がる。こうして、大人と子供がお互いの強みを生かして一緒に探索することで、発見内容を深め、好奇心の幅を広げてゆくことができるのである。


この連載の一覧
関連記事