【対話から始める学校づくり(6)】制度的に保障されている海外の「学校内民主主義」

日本若者協議会代表理事 室橋祐貴
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校則をはじめ、現状の日本の学校は、校長の権限に大きく委ねられています。子供の人権を軽視するような校長はいないと考えたいですが、実際にはいまだに人権侵害にも当たるような「ブラック校則」を許容している学校が一定数存在し、ほとんどの学校で「子どもの意見表明権(the right to be heard)」は保障されていません。

近年は「開かれた学校」づくりの一環として、学校評議員や学校運営協議会(コミュニティ・スクール)の設置が進められていますが、そこに生徒は参加していないことがほとんどです。これらの制度について、日本教育学会会長の広田照幸教授は「参加民主主義の理念とは大きな距離がある。さまざまな考え方やアイデアがぶつかり合うような、民主主義的な議論や意思決定の場としては機能していない」と評しています。

このように、各校長の意識によって子供の人権尊重が大きく左右されているのが現状ですが、国連子どもの権利委員会は、日本への勧告の中で、学校運営への生徒の参加に関してこう指摘しています。

「110・意思決定過程への着実な子どもの参加が、生徒会や学校理事会の生徒代表により、成長と学校の政策と校則の実施について自由に意見を述べる中で、実現されなければならない。これらの権利は、これを実施する当局や学校側の善意に頼るのでなく、法制化される必要がある」

つまり、学校の意思決定への子供の参加を制度的に保障すべきということです。実際、欧州のみならず、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国、台湾など、世界中の国や地域でそうした制度が作られています。

具体的な内容は次回触れたいと思いますが、例えば韓国の光州広域市「学校自治に関する条例」では、第1条(目的)で「この条例は、児童生徒、保護者、教職員が学校運営に参加する権利を保障し民主的な学校コミュニティを実現し、意思の疎通や学びと成長のある学校文化をつくることを目的とする」と書かれ、第3条(学校運営の原則)では、「教育監と学校長は、児童生徒、保護者、教師及び職員が学校の意思決定プロセスに参加することを保障しなければならず、性別、宗教、年齢、身体条件、経済的条件、学業成績などの理由で差別してはならない」と規定されています(教育監とは日本の教育長に相当)。

また、アメリカ・イリノイ州シカゴ学区では、学校評価の指標の一つとして「生徒の声、関与、市民的生活(Student Voice〓Engagement〓&Civic Life〓SVC)」が組み込まれており、生徒は学校の意思決定や方針策定に関わる複数の機構に参加でき、学校の意思決定においても日頃から生徒の視点が含まれています。

日本では学校運営への生徒の参加や、校則の内容に関する法制度化の議論は始まってさえもいませんが、全国の学校で環境を整備していくために、検討を進めていくべきではないでしょうか。


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