【ほめ方叱り方(6)】「条件付き」と「無条件」の接し方

モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育研究者 島村華子
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子どものしつけにおいて、いわゆる「アメとムチ」を使い分ける接し方は、ごく一般的に行われています。これは「条件付きの接し方」と言われ、子どもが思い通りに動いたときに褒美(例:物的褒美、ほめ言葉)を与え、そうでないときには罰(例:無視、非難)を与えながら、子どもをコントロールするやり方です。これに対して「無条件の接し方」は、行動の善しあしにかかわらず、対話をしながら子どもと解決策を見つけていくようなやり方です。

賞罰を使う「条件付きの接し方」は、たとえ良かれと思ってやっていたとしても、子どもにとっては不可解で、愛情を感じにくいものです。なぜなら、この接し方が子どもに与えているメッセージは「私は、あなたが良い子にしているときだけ愛してあげる」というものだからです。つまり、愛情は当たり前にもらえるものではなく、親の望むように動いて稼ぐ必要があるという意識が、子どもに植え付けられます。そして、周りの要望通りに動いて認められたときだけ自分に価値があるというような、もろい自己価値観を持つようになります。その結果、概して自己肯定感が低く、周りの顔色をうかがうような大人になってしまうのです。

一方の「無条件の接し方」は、民主的子育てとも呼べます。このやり方は、大人がリーダーとして家のルールや制限を適切に設定し、その理由を説明しながら、対話を通じて子どもの意見や気持ちも考慮します。つまり、子どもの従順度によって愛情を注いだり、撤回したりするような「条件付きの接し方」でも、子どもの意向を一切無視するような「独裁的な接し方」でも、子どもの要望を言われるがままに受け入れて制限を設けないような「消極的な接し方」でもありません。子どもが意に沿わない行動を取ったときも、一人の人間として尊重し、その行動の理由を子ども目線で考え、必要に応じて手を差し伸べる接し方です。

親子の信頼関係を築くには、この「無条件の接し方」が肝要です。子どもが「どんな自分でも受け入れてもらえる」という安心感を覚え、親への信頼度が高まるからです。また、愛情をエサにされていない安心感は、自己肯定感、自立心、社会的能力、学力にも関連しています。子どもが「親は、言う通りに動かないと愛してくれない」と不安に感じるのと、「親は、意見が違うときも話を聞いてくれる」と安心を感じるのとでは、子どもの成長に大きな違いが出てくるのです。


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