【対話から始める学校づくり(7)】フランスの「学校内民主主義」

日本若者協議会代表理事 室橋祐貴
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1960年代の大学紛争・高校紛争の後、「脱政治化」していった日本の学校とは異なり、フランスでは68年の大学紛争が生じた時期から徐々に、学校運営に生徒・父母の参加が保障されるような形で制度化が進みました。

学校内では各学級から2人の生徒代表が選出され、学級ごとに開催される学級評議会には、校長、担任、各教科担当教員、生徒指導専門員らとともに生徒代表、父母代表がメンバーとして加わります。

学級評議会は、成績判定や進路判定(フランスでは中学から高校への進学は、入試ではなく学校内での「進路指導」によって決定される)に関わる権限を持ち、クラス内で起きている問題についても話し合います。

さらに学級代表の中から、合計5人の生徒が「学校管理評議会」に参加します。そこでは、学校に関わるさまざまな事項(予算、学校教育計画、校則、健康、安全など)について討議されます。

その上で、こうした仕組みの形骸化を防ぐために、国から生徒代表の養成に関する通達も出ています。生徒代表は「教育共同体」の一員として各評議会に参加するために、「代表教育」が実施されているのです(例えば「自分の意見で発言するのではなく、クラスの意見を集約して発言する」など)。

さらに、校則の内容に関しても、2011年に政令と細部を規定した通達が出されています。この通達の前文で、校則は「規範のヒエラルキーの原理に合致したものでなければならない」と、フランス共和国の憲法、国際条約、法律、規則といったヒエラルキーの下位に置かれるものであると示されています。

また、校則の改正手続きなどについて、高校の場合は「高校生活のための評議会」(校長が主催し、10人の高校生代表、6人の教職員、2人の親代表が参加)に相談することを必須としており、改正は学校管理評議会の権限となっています。

そもそも、フランスでは中学校自体が「民主主義の習得の場」と位置付けられており、先述した生徒参加制度を通じて生徒たちは、自由(他者の尊重)や平等(差別の拒否)などについて学んでいます。

考え方や利害の異なるステークホルダー(生徒同士、教職員、学校長、保護者)との議論や合意形成によって身に付けられる力は、2030年の教育の在り方を展望するOECDの「Education 2030」の中でも、今後必要な3つの力の1つ(「対立やジレンマを克服する力」)として位置付けられており、学校運営への生徒参加によって得られる教育効果は、当事者意識の醸成にとどまりません。格差が広がり、環境問題が生じる中で、地球・人類の存続のために欠かせない資質と言っても過言ではないでしょう。


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