【個別最適化された学び(6)】「ROCKET」からの「SPACE」─異才から個才へ─

株式会社SPACE代表取締役CEO 福本 理恵
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「異才をつぶさず社会に接続する」。そんな命題を背負って始まったROCKETですが、「ユニークな子どもの才能発揮」という点では、社会への突破口を開いたと思います。初年度に15歳だった参加者も成人を迎え、仕事につながる動きも見えています。しかし、特性やこだわりの強い彼らが社会で生きていくには、自分らしくいられる、安心できる環境を見つけることが大きな課題であるとも感じています。

一方、教育業界において「不登校」をキーワードにROCKETが行ってきたことは、「学びの解放」でもありました。ユニークな子どもたちが声を上げ、学校の枠から飛び出した結果、インパクトを持って教育の多様化が進みました。とはいえ、公教育の中で個に応じた学びを実践できているとは言い難いのも現状です。ROCKETが提供してきた「学校の枠を外す学び」は、学習者が主体となった、探究的な学びそのものだと考えます。その点において、全ての子どもたちが自分の特性や興味関心の在り方に気付ける環境が生まれれば、管理される学びから主体者としての学びに転換できると考えました。

2020年の8月、私はSPACEという会社を立ち上げました。立ち上げた理由の一つはROCKETの子どもたちが生業として活躍できる就労という観点から、もう一つは学習者主体の学びを「異才から〝個才(全ての人が個々に持っている才能)〟への拡張として実現したい」という気持ちからでした。SPACEとは「Super Personalization Activated by Curiosity and Entusiasm」の頭文字を取ったもので、「好奇心と情熱によって動き出す、究極の個別最適」という意味です。学びや仕事の根底には好奇心や情熱があって、それで人は初めて能動的に学び、働くのであり、才能を発揮するためには環境とのマッチングが個別最適になっていることが重要である、という想いを込めています。

もちろん、ROCKETがより広い宇宙(SPACE)へ飛び立つというイメージも含んでいます。ROCKETの青年たちが広い社会で活躍するためには、より広大な人的ネットワークが求められ、双方にとって幸福なマッチングが意味を持ってきます。SPACE創業メンバーの一人は産業医ですが、産業界でも仕事と特性・興味関心のミスマッチが起こり、精神疾患に陥る人や離職者が絶えない状況を目の当たりにしています。これは、教育と就労がどちらも「個人の特性と環境とのミスマッチによって、個人が最大限に力を発揮できなくなる」という課題が、根底にあることを物語っています。SPACEはこのミスマッチを解消することで、個人が幸せに学び生きられる社会を目指すというミッションを掲げ、今まさにスタートしたところです。


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