【ほめ方叱り方(7)】NGなほめ方

モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育研究者 島村華子
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ほめ方で大人が一番やってしまいがちなのは、「すごい!」「偉いね!」と具体性に欠ける「おざなりほめ」、そして「さすが天才!」「いつも優しいね!」と能力や性格に集中するような「人中心ほめ」です。大人の「ほめることで伸ばしたい」という思いや語彙(ごい)力不足も手伝って、「どうしても、決まった言葉掛けになってしまう」という悩みをよく聞きます。一見ポジティブにも聞こえるこういった言葉を掛けたとしても、大人が期待しているような効果は得られません。

まず、「おざなりほめ」は、注意深く観察していなくても言えるので、大人には都合の良いほめ方です。しかし、具体性や誠意に欠け、良い部分が子どもには伝わりません。「おざなりほめ」を続けると、子どもがほめ依存症になったり、条件付きの自己肯定感を持ったりする可能性もあります。常にほめられていないと不安になり、認められたという「条件」があるときの自分にしか自信が持てなくなるからです。

また、本人の努力の有無にかかわらず、毎回大人が「すごい」「上手」という外的評価を与え続けているため、子ども自身が自己評価をする機会がなくなってしまう点も問題です。大切なのは、大人が常に子どもに評価を与えることではなく、自分で良かったところ、あるいは足りなかったところを観察・内省できるようになる「自分で考える力」を育てる機会を子どもから奪わないことです。

次に、「人中心ほめ」は、失敗することへの恐怖心を増長します。子どもは、繰り返し「優しい」「頭が良い」とほめられることで、「周りからの高い評価に応えなければいけない」というプレッシャーを感じるようになるからです。失敗したらイメージが崩れ、評価が下がることに不安を覚え、難しいことにチャレンジすることにもちゅうちょするようになります。完璧主義であればあるほど、この傾向は強くなります。

また、「人中心ほめ」をされた子どもは、「自分の基本的資質は生まれつき決まっているので、知性や能力は変えられない」という、柔軟性に欠けた固定観念を持つ傾向があります。このような考え方は「フィックストマインドセット」と呼ばれ、努力や頑張る気持ちを促しません。大人の声の掛け方次第で、子どもが最初から諦めたり、自分の可能性を自分で決め付けてしまったりしたら、とても残念なことです。


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