【対話から始める学校づくり(8)】日本でも実現している「学校内民主主義」

日本若者協議会代表理事 室橋祐貴
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制度的には担保されていない日本の「学校内民主主義」ですが、国内で一切行われていないというわけではありません。中でも、東京の私立大東学園高校の三者協議会と高知県奈半利町立奈半利中学校の三者会は、「校長の補助機関」ではなく、学校運営に関する「意思決定機関」の性格を有しており、決定権を持つ欧米の学校評議会に近いものとなっています。

ここ最近「生理の貧困」が大きな話題となり、学校での無償配布(トイレへの設置)も検討されていますが、大東学園では生徒の要望を受け、生理用品の自動販売機が女子トイレに設置されています。

日本でのこうした取り組みは数が限られており、定量的に変化を把握するのは難しいですが、大東学園の2019年度の生徒会長は「三者協議会」についてこう語っています。

「自分としてはこの活動を通じて『多面的』に物事を考える力が身に付いたと思います。初めは生徒としての立場しか考えられませんでしたが、保護者の立場、先生の立場からの意見を聞くことで、違う立場からの考えも自分のこととして考えてみることができるようになりました。立場や考え、意見の違う人の身になって考えることができるようになったことが大きいです。」(『校則、授業を変える生徒たち 開かれた学校づくりの実践と研究』より引用)

まさに、民主主義社会にとって、最も重要と言える「他者への尊重」や「相互理解」、OECD「Education 2030」の中で触れられている「対立やジレンマを克服する力」ではないでしょうか。

「生徒の声を聞く」というと、先生は「わがままばかり言うのではないか」と懸念されるかもしれませんが、日本若者協議会が実施したアンケートでも、「学校に関して児童生徒が意見を表明する場」が必要な理由として、「学校という所に所属しているのは生徒だけでなく教員も職員も一緒なので、お互いに気持ち良く有意義に過ごすためには譲り合うところ認め合うところが歳や立場を問わず必要だと思うから。(中略)どちらかの意見を押し通すならば学校ではなく監獄になってしまうと思う」(東京都・国公立高校 生徒)という回答が寄せられており、もっと生徒を信頼してもよいのではないでしょうか。

最終的なアウトプットとして、学校生活が改善されるに越したことはありませんが、考えや立場が異なる人と議論して「合意形成」をしていく経験を積み重ねること、それ自体に価値があります。

そして、学生生活でこうしたプロセスを多くの人が経験すれば、全体的に「当事者意識」が欠け、「対話」の機会も少ない日本の市民社会が、より成熟したものへと変わっていくはずです。


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