【ほめ方叱り方(9)】NGな叱り方

モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育研究者 島村華子
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子どもに罰を与えたり、「駄目!」「やめて!」と頭ごなしに否定したり、感情に任せて一方的に怒鳴ったりというようなことは、避けたい叱り方です。「怒鳴ることは新しい体罰」と呼ばれるように、負の感情に任せて怒鳴りつける行為は、叩くのと同じくらい、子どもの素行や精神状態に悪影響を与えることが分かっています。

罰を与えたり、怒鳴ったりする叱り方がNGな理由は、大きく三つあります。第一に、大人が望んでいるような反省を子どもに促さないことです。一方的に怒鳴られた子どもは、感情を瞬発的に処理する機能を持つ脳の扁桃体が警戒状態に陥り、「戦うか・逃げるか・すくむか反応」しかしません。つまり、怒鳴られることで論理的に考えることができなくなり、なぜ怒られているのか、何が問題なのか、周囲にどんな影響があったのかということを考えなくなります。その結果、大人が望んでいるような反省にはつながらないのです。また、罰を受けると、「いかに罰から逃れるか」に子どもの意識が向くため、結局は自己中心的な考え方を助長します。

第二に、圧力を使って相手を押さえ付けるのが愛情であり、問題解決の手段であるという刷り込みがなされてしまうことです。そうして育った子どもは、自分が苦痛だったにもかかわらず、自身が親になったときに同じように専制的な接し方をすることが多く、負の連鎖が世代を超えて伝わってしまうのです。また、大人自身も激高しているときは、冷静な判断がしづらいものです。このため、つい自分になじみのあるコントロールの方法に頼ってしまうため、罰の連鎖を断ち切ることが難しくなってしまいます。

第三に、罰でコントロールをしようとする、あるいは理由も聞かずに一方的に怒る親を、子どもが信頼しなくなってしまうことです。子どもにも、子どもの都合があります。せかされているとき、駄目だと言われているときなどは、子どもの都合が配慮されていないことがほとんどです。大人だって、自分の都合を聞く姿勢もなく、相手が一方的に決め付けた態度で非難してきたら、相手に歩み寄ろうという気持ちは芽生えません。このように、一方的に怒鳴ったり、罰を与えたりする叱り方は、全く問題解決にならないばかりか、親子関係の悪化にもつながります。


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