【対話から始める学校づくり(10)】ルールに「従う」生徒から「作る」生徒へ

日本若者協議会代表理事 室橋祐貴
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新学習指導要領に盛り込まれた「主体的・対話的で深い学び」。これを実現するために、授業の進め方も変わろうとしていると思いますが、学校運営への生徒参加も、同じ文脈の中に位置付けられます。「先生の言うことを聞きなさい」「質問をされたら『はい』と答えなさい」ではなく、主体的に学ぶ「当事者」にするのです。

2006年に定められた新しい教育基本法で、「国を愛する態度を養う」とともに「規律を重んずる」教育(第6条)が重視された影響もあり、ルール遵守の意識が強い生徒が増えています。

「校則を守ることは当然だ」という問いに対し、「そう思う」と回答した高校生は、01年は16・8%でしたが、13年には35・2%と約2倍になっています。SNSの広がりもあり、以前よりも同調圧力が強まっているのかもしれません。

当事者意識を失い、受け身になってしまった児童生徒を変えることは大変ですが、まずは身近なルールを批判的に検証し、自ら新たなルールを考えていくことが必要です。現状の主権者教育は、これまでの延長線上と変わらず、既存の社会制度の暗記、投票の練習(模擬投票)をしているケースが珍しくありません。そうではなく、主権者の一人として、他者と対話しながら新たな解決策(法律や予算など)を考えていく、そのような機会(練習)が必要です。

そう考えると、学校運営に生徒が参加し、さまざまなステークホルダーと議論しながら、自分たちのルール・お金の使い方などを決めていく取り組み(学校内民主主義)は、「主体的・対話的で深い学び」そのものではないでしょうか。その先に、当事者意識や自己肯定感の醸成、自律した生徒の姿があります。

子供の「主体的・対話的で深い学び」を実現するためにも、教員同士、教員・保護者間でも対話をする。保護者も過度に学校(教員)に依存しない。そして、皆が学校=社会の一員として、環境をより良くしていく(最近のキーワードだと「エージェンシー」=「自分の人生や周りの世界をより良い方向に変えていく意思や力」を育て発揮する)。そうした取り組みが、今こそ求められているのではないでしょうか。

最後に、田中優子ほか著『そろそろ「社会運動」の話をしよう』にある次の言葉を紹介します。「人は生まれながらにして権利主体ではあるのだけど、生まれながらに権利を行使するわけではない。行為する権利主体になるには、子どもからおとなへの育ちのプロセスに、何かが必要なのではないか、ということである。私たちの社会は、果たしてその『何か』をすべての子どもや若者に保障しているだろうか。もし保障できていない現実があるとしたら、その『社会』をこそ変える必要がまずあるのではないか」。

(おわり)


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