【ICT×学び合い(1)】「できる人だけがやる」でいいの?

HILLOCK初等部カリキュラムディレクター 五木田洋平
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はじめまして。今回から連載をさせていただく五木田洋平です。2020年度まで私立開智望小学校でクラス担任、学年主任、ICT部主任などを務めていました。開智望小学校が探究学習を推進していることもあり、探究的な学びと従来型の教育の融合を目指したり、学習者同士が学び合うクラスを設計したりしていました。現在は22年に開校するHILLOCK初等部のカリキュラムディレクターとして活動しています。

この連載のテーマは「ICT×学び合い」です。ICT担当の先生や一斉講義型ではない授業の在り方を模索している先生の力になれば幸いです。

ICT主任が書く連載と言えば、「GIGAスクール構想」を真っ先に思い浮かべる読者の方も多いと思います。今回、あえて「ICT×学び合い」をテーマとしたのは、学習者(子供、教職員)が「知的に、ストレスなく、刺激的に学び合える環境」を創ることが、GIGAスクール構想を進める上でも、従来型の学習を進める上でも重要な論点だからです。逆に、お互いを尊重し、お互いの知見を交換したり、議論の後により良い考えを見つけようとしたりする学び合いの関係が築かれていない場では、「やる人」と「やらない人」、「やりたい人」と「やりたくない人」、「できる人」と「できない人」といった分断が起きるでしょう。

ICTについては、「できる人がやればいいじゃないか」という声が多いのも事実です。しかし、「できる人だけがやる」という環境では、共通の経験がないので、お互いの理解が薄くなりがちです。その結果、その人や物事の価値が伝わらず、その価値を認められなくなったり、できる人に仕事が集中して業務過多を引き起こしたりすることが想像されます。

私はICTを推進する目的を、情報・知識(Information)と人々の関わり方(Communication)の課題を技術(Technology)の力で解決していくことだと捉えています。情報・知識へのアクセスや人々の関わり方がスムーズになれば、先に挙げた「知的に、ストレスなく、刺激的に学び合える環境」を創ることができるでしょう。

「皆が使ってみたら、皆が知れる」「皆が知れたら、皆で話せる」「皆で話せたら、皆で考えられる」「皆で考えられたら、皆のものになる」「皆のものになったら、皆のためになる」。このような形で学び合う環境と価値観がアップデートされていけば、教育業界が明るく輝くものになるのではないかと思っています。

【プロフィール】

五木田洋平(ごきた・ようへい) 10年間小学校の教員として勤務し、現在は22年開校予定のHILLOCK初等部の設立に参画。ICTを用いながら学習者同士の気付きを促す学びの場を構築する活動を行っている。また、シンガポール日本人学校の研修講師や、大学の特別講座の担当や勉強会の企画運営も行うなど幅広く活動している。

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