【ほめ方叱り方(10)】効果的な叱り方

モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育研究者 島村華子
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叱る場面で望まれる大人の姿勢は、子どもの目線に立って行動の理由に想いをはせることです。環境整備が足りないからそうなったのか、それとも禁止する理由が大人の都合だからなのか、あるいは本当に「駄目」と伝える必要があるのかを改めて見直すのです。これを踏まえて、叱り方のポイントは三つあります。

第一に、まずは「~したかったのね」と、子どもがやりたかったことを認めます。かんしゃくを起こしているときこそ、子どもの「助けて」のサインです。もちろん、「駄目」「やめて」という声掛けは、安全に関わる緊急時には必要かもしれません。しかし、「こんなことで泣かない」などと子どもの気持ちを否定・極小化するような叱り方は、一番助けが必要なときに、「そういう気持ちを感じてはいけない」と子どもに伝えることになってしまいます。どんな感情も、親が受け止めてくれるのだという安心感を子どもに与えることが必要です。ただし、子どもの気持ちを受け止めるということは、全ての行動にOKを出すことでも、全ての要求をのむことでもありません。大事なのは、子どもの怒りや不安を押さえ付けたり、無視したりするのではなく、どうやってこういう気持ちに向き合えばよいのか、どういう行動を取ればよいのかを大人が見せてあげることです。

第二に、子どもが話をできる状態になったときに、なぜその行動が望ましくないのか、具体的に説明します。因果関係が不透明な罰や脅しを使わずに、対話の中で理由を具体的に説明するのです。「次たたいたら、誕生日プレゼントをあげないよ」と言う代わりに、「自分のおもちゃを取られて嫌な気持ちになったのかな。たたいたら、お友達が痛くて悲しむから、やめようね」と伝えるのです。

第三に、能力や人格を否定する言い方を避けて、過程・やり方、つまりプロセスにフォーカスしたフィードバックをしながら、解決策を一緒に見つけていきます。例えば「お友達をたたくなんて、意地悪な子だね」と言う代わりに、「お友達のおもちゃを取ったら、お友達が悲しそうだったよね。どうしたら笑顔になるかな?」あるいは「泣いているお友達にどうしてあげたらよいと思う?一緒に考えよう」というふうに声を掛けてみましょう。一方的に大人目線で裁くのではなく、対話のチャンスと捉えて、コミュニケーションを図りたいところです。

(おわり)


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