【発達障害の早期支援(1)】 発達障害は増えている?

ADDS共同代表 熊仁美
この連載の一覧

発達障害は、数が増えていると言われています。厚労省が定める発達障害の一つ、「自閉スペクトラム症(以下、自閉症)」は、こだわりや興味の幅の狭さ、社会的なコミュニケーションの困難さなどを特徴とする先天的な脳の機能障害ですが、米国の疾病管理予防センター(CDC)の2012年の調査で88人に1人という結果が出て、世界に驚きを与えました。さらに2年後、同じくCDCの14年の調査では、なんと68人に1人という結果が出ています。

発達障害は、誰もが当事者になり得る課題

発達障害は、不登校や引きこもりなど、さまざまな社会的課題とも密接に関係している可能性が示されてきました。06年の厚労省の調査では、ニートの就職・自立支援施設利用者の23.2%に、発達障害の傾向があるというデータが示されました。また、徳島大学大学院の境泉洋准教授(現宮崎大学教授)らのグループが10年に行った調査では、引きこもりの4人に1人が発達障害の可能性があるというデータも示されました。

文科省が12年に公表した調査結果では、通常学級に在籍する発達障害の可能性のある児童数が、全体の6.5%に達するというデータも示されています。アンケート調査であるため、後天的要因によって学習の遅れや生活の乱れが生じ、特別な支援を要するようになった児童も含んだ値だと考えられます。しかし、対人関係やこだわりなど自閉症の診断基準に関連が強い項目の該当児童が1.1%いるという結果もあり、発達障害に関する教育現場の困り感が、浮き彫りになった調査と言えるでしょう。

発達障害は、誰もが当事者になり得る、皆で考えていかねばならない課題です。支援においては、当事者と社会の相互作用の部分に介入し、改善していくことが有効とされています。社会だけが変わっても駄目、子供だけが変わっても駄目で、双方が適切かつポジティブに関われる相互作用をつくっていくような支援が必要です。

この考え方は、応用行動分析学(ABA)という心理学において体系化されています。応用行動分析学は「環境と個人の相互作用」にアプローチする学問で、発達支援のさまざまな領域で活用され、科学的根拠に基づいた成果を出しています。次回からは、ABAの具体的な考え方を紹介していきます。

この連載の一覧
【プロフィール】

熊仁美(くま・ひとみ)自閉症がある子供とその保護者に対し、早期にICTなどを活用して適切な支援を提供することで、子供の可能性を最大限に広げることを目指すNPO法人ADDS共同代表。心理学博士。現在、慶應義塾大学非常勤講師、東京都江戸川区発達相談・支援センター長も務める。