【個別最適化された学び(10)】AI時代の先、宇宙時代の学びに向かって

株式会社SPACE代表取締役CEO 福本 理恵
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社会のグローバル化や情報化が進み、AI時代に突入する中、人類が宇宙に住むという話も現実のものとなりつつあります。私たちは宇宙時代に向かって歩み始めたように感じます。

一方で、現在の日本の学校では生徒の10人に1人が不登校などの不適応を起こし、社会人も4人に1人が一生のうちに精神疾患にかかると言われています。このデータは、環境とのミスマッチで誰もが不適応を起こし得ることを示しており、だからこそ個々の才能に合わせた学びと仕事をつくることが喫緊の課題だと、私は強く訴えています。運良く素晴らしい親や教師、上司と巡り合い、自分に適した環境に出合えれば才能は開花しますが、逆の場合は可能性を喪失することにもなりかねません。

ベテランの先生方が「暗黙知」としてやってこられたことを数値化して再現できれば、学びの機会の不平等は解消します。そして、自分の特性を理解し、やりたいことや得意なことを生かした環境を選べれば、全ての人がもっと自分らしく力を発揮して生きられるのではないでしょうか。

私には夢があります。子どもたち一人一人に合わせた個別最適な学びが教育のスタンダードになり、個才が発揮されていく社会を実現するという夢です。これまで、子どもたちの才能が、置かれた環境でいかようにも変容することを目の当たりにしてきました。だからこそ、一人一人が違う感性や認知の特性、興味関心を持って生きていることを尊重し、そこを起点とした学びの実現にこだわりたいのです。

既存の評価基準だけで測れる力は限定的ですし、受験勉強ができなくても、自分の好きなことを追究して学ぶ子どもたちはたくさん存在します。そんな彼らの力、個才を見つけることこそが教育の本質であり、より拡張していく世界の中で人が幸福になるために必要な原動力は「個人のやりたいと思う力」だと感じています。だから、自分の興味の変遷を感じ取り、それをかなえていく学びを創っていくことが重要で、それは誰のためでもない、自分を見つけるための学びそのものであると思います。

そして、それを可能にする一つの糸口に、個別最適な学びがあるのです。画一的なゴールに向かう個別最適化ではなく、外界を知るセンサーでもある認知特性や探究心、興味関心に合う学習環境を見つけること。その中で自分の感覚や知識、価値観の軸をつくること。それこそが、未知なる世界で幸福に生きるための学び方と言えるのではないでしょうか。

(おわり)


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