【HSCと向き合う(1)】コロナ禍とHSC

一般社団法人信州親子塾 齋藤光代
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新型コロナウイルスの影響で当たり前の日常が変化し、学校のルーティンが崩れたことで、休校明けから明らかに相談が増えた。子供が抱えるのは漠然とした不安であり、学校や親からすれば明確な原因が見当たらないままの不登校。その大半はHSCと言われるタイプの子供たちだと思われる。

HSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド=ひといちばい敏感な子)は、病気や発達障害ではなく、5人に1人はいると言われる。生まれつき周囲の刺激や人の気持ちに敏感に反応し、その感受性の強さ故に傷つきやすく、疲れやすい性質を持つ。裏を返せば、世の中の本質を理解して、いろんなことに気が付きやすい子。全体の約2割がそうだとすれば、コロナ禍の影響を強く受け、相談が増えるのも当然のことだろう。

些細なことに不安になったり傷ついたりして、過度に疲れてしまうHSC。用語としては目新しいが、その存在は今に始まったことではなく、昔から一定数は学級内にいたわけで、保護者も対応に困惑していたことを思い出す。

そう、HSCは普通にどの教室内にも潜んでいる存在だ。障害でも病気でもないので、教室で担任が対応する以外になく、取り出しをしての指導もそぐわない。本連載が、HSCを取り巻く環境である「教育関係者」の皆さんのヒントとなり、どこにでもいるHSCの生きづらさの解消につながることを願う。

開設以来、信州親子塾には、生きづらさを感じているHSC、HSP(大人になったHSC)が集まってきている。「常に集団で動き、自分のペースは許されない」「友達がいじめられるのや怒られるのを見るのが嫌」。それが彼らの感じていることだ。いろんな不安やストレスを受けながら、ギリギリのところで学校に通っていた。学校の流れにやっと「適応」したと思ったら、今回のコロナ禍で全てが変わってしまった。さらに休校中、いかに自分が無理をしてきたか、苦しかったかを実感することとなる。

欠席が続くと、周りの大人は学校から離れる恐れから、頑張らせたり元気付けたりする。しかしそれは、本人の「不安」や「思い」とは程遠い、「鈍感な大人の思い」であることを認識したい。必要なのは後押しではなく、本人の思いを受け止め、見守ることだ。

「分かってくれる人に初めて会いました」と口をそろえる親子塾の子どもや若者たち。自分が感じていることの全てが肯定される、安心な環境で自分を取り戻せたら、誰もが自ずと動き出す。心配することはない。


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【プロフィール】

齋藤光代(さいとうみつよ) 長野県長野市出身。28年間の教員生活(小学校・特別支援学校)の中で、その敏感さ故に同調圧力に苦しむ子供の心の声を聴き、ありのままに受け止めることで生き生きと輝きだす姿に出会ってきた。しかし、なかなか変わらない学校システムの中、淘汰されていく子供たちに寄り添いたい思いから、2017年に教職を退職。生き場を失った子供・若者が自分に還る場として、一般社団法人信州親子塾を同志三人で立ち上げる。親子塾オンラインサロンでは、親や指導者に向けて子供との向き合い方等のセミナーを開催している。