【発達障害の早期支援(2)】 問題の原因を子供に求めず環境に求める

ADDS共同代表 熊仁美
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前回、発達障害の子供たちの支援において成果を上げている応用行動分析(ABA)について少し触れました。今回は、ABAの考え方を教育に生かすポイントについて、紹介していきます。

応用行動分析学に基づいた支援の枠組み

授業中に立ち歩く、大声を上げてしまう、宿題をやって来ない、友達をたたいてしまう…日々子供たちと関わっていると、こういった「困った行動」に悩まされることがあります。

例えば、「授業中に立ち歩く」という困った行動をとる子がいたとします。その子について、先生に「なぜ立ち歩いてしまうのでしょうか」と理由を尋ねると、「多動で落ち着きがないからです」「衝動性が高いからです」といった答えが返ってくることがあります。

実は、「立ち歩く」と「落ち着きがない」は同じ現象の言い換えであって、因果関係の説明にはなっていません。問題の原因を「個人」に求める思考、すなわち「子供のせいで問題が起こっている」という思考に陥っている状態です。心理学の用語で、このような状態を「個人攻撃の罠」と言ったりします。

「個人攻撃の罠」の最大の問題は、原因を個人の中に帰属させることで、問題解決のアクションから遠ざかってしまうことです。試しに、理由として挙げた「落ち着きのなさ」や「衝動性」の解決に向けて、どうアプローチすればよいか考えてみてください。「叱る」や「注意する」以外に、明日からできるような、具体的な打ち手がなかなか思い浮かばないことがお分かりいただけるでしょう。実際に、ほとんどの先生は、叱ったり、注意したりして、その子の立ち歩きをやめさせようと努力されていますが、状況はなかなか好転しません。

なぜなら、「多動」や「衝動性」は、行動の直接の原因ではないからです。実際、子供に会うと、椅子に座って授業を受けられているときもあれば、立ち歩いているときもあります。その行動の差には、環境の違いが影響しています。すなわち原因は子供の中にあるわけではないのです。

では、問題解決に向けて原因を「環境」に求め、具体的な対策を考えていくにはどうすればよいのでしょうか。次回は、「環境」と「行動」を三つの箱で分析し、対策に生かす方法を紹介します。

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