【教室と世界をつなぐ「探求」(6)】大人も学ぶ「クエストエデュケーション」

株式会社教育と探求社 代表取締役社長 宮地 勘司
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クエストエデュケーションの「企業探究コース」には、12社の企業が参画している。2021年度は、アデコ、カルビー、博報堂、富士通、三菱地所、メニコン、大正製薬、大和ハウス、テレビ東京、パナソニック、フォレストアドベンチャー、吉野家という、業種も社風も多様な企業群が生徒たちのインターンシップを受け入れている。生徒たちは5~6人でチームを組み、教室にいながらいずれかの企業のインターン生となり、ほぼ1年間にわたり活動をする。

生徒との対話を通じ、大人も学ぶ

1学期は、街に出てその企業が社会にどのように存在し、どのように人々の役に立っているのか自分の足で探してくるフィールドワークや、街ゆく人にインターン先企業についてのアンケート調査を行う。自らがインターンする企業についてのリアルな情報を、実践的な行動を通して集めていく。

そして2学期になると、インターン先企業からミッションと呼ばれる課題が出される。「生きるを面白くする大和ハウスの新たなビジネスを提案せよ!」「まだ見ぬ自分が花開くテレビ東京にしかできない新事業を提案せよ!」など、単なる事業拡大や新規ビジネスモデルの提案ではなく、その企業が大切にしている理念や公益的な価値の実現に向けて何ができるのか、何をやるべきなのかについて生徒が提案する。企業が生徒を教え導くのではなく、生徒が「企業と共に未来をつくる」ことが、企業探究コースのコンセプトなのだ。

そうなると、おのずと企業人の生徒に対する関わり方も変わってくる。自社の事業内容や仕事について自分が知っていることをただ生徒に教えるのではなく、未来の社会がどうなっていくのか、その中で自社がどのような役割を担って世の役に立っていくのか、企業人も当事者意識を持って考えなければならない。「〇〇さんが最も企業理念を実現したと思う仕事について教えてください」などと、生徒からは容赦なく本質をついた質問が飛んでくる。企業理念とは壁に飾った文字の塊ではなく、自分自身が仕事を通じてその価値を実現していくものなのだと生徒から教えられる。

社会で働く大人たちには、知識・スキルを磨くことや論理的に物事を考えることが求められている。しかし、それだけでは十分ではない。いまだ見ぬ未来を見ようとする好奇心、自社の理念を深く理解する智慧、その上で何をやるべきか、何が本当に大事なのか、自分の頭で考え抜くことが必要なのだ。そのことを、クエストを通じて大人も学ぶのである。

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