【発達障害の早期支援(3)】 環境と行動を「3つの箱」に分けて考えよう

ADDS共同代表 熊仁美
この連載の一覧

今回は、応用行動分析(ABA)の基本的な考え方である、環境と行動の関係を分析する方法を紹介します。

応用行動分析(ABA)に基づいた行動の理解

前回、授業中に立ち歩いてしまう子供について触れました。その子がなぜ立ち歩くのかを知るため、ABAでは「立ち歩く」行動の前後を「3つの箱」に分けて分析していきます。「立ち歩き」という行動の例を使って、考えていきましょう。

例えば、課題をやり終えるのが早く、終わると立ち歩いてしまい、注意を受けている子がいたとします。毎日のように注意していますが、立ち歩きは減るどころか増えているような気がします。

上記の例について「3つの箱」で分析すると、「立ち歩く」行動の前に、「課題が早く終わった」という出来事が起きています。課題終了後の「何をしていいか分からない状況」が先行事象です。そして、「立ち歩く」行動の後には、「先生からの注目(叱り)」や絵本などの「新しい刺激の出現」という出来事が起きています。これが、後続事象です。ABAでは、後続事象により直前の行動が増えることを「強化」と呼びますが、この事例では先生の注目や絵本などの新しい刺激獲得が「強化子」となっていることが分かります。

この分析を基に対策を立ててみましょう。まず、「立ち歩く」行動の前の工夫として、「課題をやり終えた人は、このプリントか絵本を1冊持って来て、席で静かに待ちましょう」などのルールをしっかり説明をしておくとよいでしょう。そうすることで、先生の許可のもと絵本を取りに行く、別のプリント課題に取り組むなど、適切に待つ行動を引き出すことができます。先生は褒めることができ、本人も何をして待てばよいかが分かり、また達成感も得られるでしょう。

その他の例として、隣席の子にちょっかいを出される→立ち歩く→ちょっかいが止まるといった流れで、行動を起こしている子もいるかもしれません。その場合は、席替えのときに、気になる友達との距離を少し離す、隣席の子がちょっかいを出す前に仲裁に入るといった対策で、状況は改善に向かうでしょう。

このように、「行動」の形は同じでも、前後の状況によって対処の方法は変わります。原因が「子供の中」にあるという思考で関わってしまうと、どうしても主観や先入観から叱ることが増えます。しかし、「困った子」は「困っている子」です。その時の前後の環境と結び付け、客観的にその子の行動を捉えると、対策が立てられます。場合によっては記録を取りながら分析し、困った行動に置き換わる適切な行動をどうすれば引き出せるかを、徹底的に考えることも重要です。

この連載の一覧