【ICT×学び合い(6)】「みとりシート」を共有するメリット

HILLOCK初等部カリキュラムディレクター 五木田洋平
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前回は、「スクールタクト」を使って子供の「みとりシート」を共有する方法を紹介しました。今回は、新任の先生とその先生をサポートする立場にある方を想定してお話します。

「みとりシート」を共有する目的は、①お互いの見取りの視点を共有することで視点を増やすことができ、子供への理解が深まること②管理職やサポートする先生が「担任が普段どんな視点で子供を見ているのか」を共有できるので、問題が発生したときも現状のキャッチアップが容易であること――の2点です。

まずは①の利点について説明します。新任の先生は、自分の見取りが合っているのか分からないと感じていたり、視点の癖(学力を中心に見ているのか、友人関係を中心に見ているのか、生活のリズムを中心に見ているのかなど)に気付いていなかったりして、子供を多面的に見取ることができません。また、そもそも「授業をどうしていくか」という視点しか持てず、「子供を見取っていく」という視点を持てていない人もいるでしょう。お互いの見取りの視点を手間なく共有する仕組みがあれば、アドバイスを受ける方もする方も、敷居が高い作業をせずとも、お互いの見取りの記述から気付き合うことができるのです。

次に②の利点について説明します。新任の先生のクラスは、いつの間にか問題が発生してつらい状況になってしまうことが少なくありません。一般的に、管理職や学年主任は、問題が起きた後に対応するという観点でしか、新任の先生を管理できていません。しかし、「みとりシート」をたまに見るだけでも、新任の先生が普段どのように対応しているのかを把握し、トラブルを予見することができます。また、アドバイスをする際も、「みとりシート」を参考にすれば、建設的な話をしやすくなります。

一番良くないのは、アドバイスをする側が自分の経験のみを押し付けることです。効果が出ない上に、双方の時間が無駄になります。キャリアの違いはあれども、立場は一緒です。お互いの教育活動を客観的に捉えることで、学び合う関係ができたらすてきだと思わないでしょうか。

ただし、この方法は全員にはお勧めしません。そもそもクラスが安定している人、スムーズに仕事をしている人は、その人に合ったやり方を見つけているからです。この方法は困っている人や、目をかけてほしい人が、お互いの信頼の下にやるものです。ICTを用いて、お互いの研さんがスムーズに行われる環境がつくれたら、とても創造的な仕事になるのではないでしょうか。

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